【フジテレビ商品研究所 これは優れモノ】ブラザー「ピータッチ キューブ」

 
12ミリ幅のテープで作ったデザイン例。豊富なテープカラーが別売りされているので、自分だけのオリジナルが作れる

 □ブラザー ラベルライター「ピータッチ キューブ」シリーズ

 ■スマホと連動、インスタ映えに一役

 昨年の流行語大賞にも選ばれた「インスタ映え」。無料の写真・動画共有サービス、インスタグラムに公開した写真の見栄えの良さを表現した言葉だ。今回の「これは優れモノ」は、“インスタ映え”に一役買うおしゃれなラベルライターを取材した。

 ◆新たな需要喚起

 「事務用品というイメージを払拭して、新たな需要を喚起しました」と話すのは、ブラザー工業ラベリング&モバイルソリューションズ事業・事業企画部の伊藤みずえさん(37)。伊藤さんは入社以来、学校の家庭科の授業などにも使われている家庭用ミシンやラベルライターの商品企画に携わってきた。

 同社が日本で初めてラベルライターを開発したのは1988年。当時の同社研究員が、お気に入りの曲を入れたカセットテープにきれいな文字のタイトルラベルを貼りたいと思ったことがきっかけだった。こうして、書きたい文字を打ち込むと、裏が粘着性になっているテープに印字できるラベルライターが世に登場した。「ほとんど趣味で作ったような商品でしたが、あったらいいなと思っていた人も多く、ヒット商品になりました」(伊藤さん)

 個人需要がメインと考えられていたが、しばらくしてオフィス文具として法人需要もあることが判明した。多くのオフィスでは紙の資料をまとめておくためにファイルを使用しており、その背表紙に貼るラベルを作るためにラベルライターを活用したいというニーズがあったのだ。

 その後、ラベルライターは業務用やオフィス用文具として進化していった。パソコンと連動させる機種では、必要なデータの印字シールを簡単に作ることができ、配送用の荷物や商品ラベルから医療・研究機関の検体用ラベルなど、多くのシーンで活用されるようになった。

 そしてスマートフォンの普及を受け、スマホと連動できる機種の開発に取りかかった。「文具の世界ではスマートフォンとの連携が遅れていましたが、ラベルライターもここに対応すれば新たな需要が生まれると考えたのです」と伊藤さんは話す。

 ◆家のあらゆるものに

 家庭用の新製品開発に向けて市場リサーチをすると、これまでの子供の持ち物や洋服の収納のほかにギフトラッピングなど、ラベルを付けるシーンが数多くあることが分かった。

 そうしたニーズを見込み、2016年10月に発売したのがスマホからラベルを手軽にデザインできるラベルライター「P-TOUCH CUBE(ピータッチ キューブ)」だ。スマホの画面から操作するため実物に近い仕上がり具合も事前に確認でき、無料の専用アプリからさまざまなデザインを選べる。

 ユーザーがオリジナルのラベルを貼った小物類やギフトラッピングの写真をネットに相次ぎ投稿すると、インスタ映えすると口コミで広がり、一時は生産が間に合わないほどの売れ行きとなった。

 今年1月には、印字できるラベルテープの幅をこれまでの12ミリから24ミリに広げた新しい機種を発表。「ご家庭だけでなく、小規模のお店でも使っていただける高スペックの機種です」と伊藤さんはにこやかに語った。

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 ≪interview 担当者に聞く≫

 □ブラザー工業 ラベリング&モバイルソリューションズ事業・事業企画部 伊藤みずえ氏

 ■デザインにこだわり、多彩な使い方が好評

 --ラベルライター「ピータッチ キューブ」のヒットの理由は

 「ピータッチ キューブ」は国内需要の掘り起こしのために新たに開発した商品ではあるが、想像以上の反響で驚いている。2016年の販売開始時の年間目標は2万台だったが、1年もたたず倍の4万台を記録した。2万台という目標設定も高すぎると考えていたので、生産が追い付かないほどだった。機械操作が苦手な女性のため、本体のキーボードをなくし、スマートフォンから気軽にデザインできるのが受けたのだと思う。おしゃれなラベルを貼るとインスタ映えすることが、口コミで広がったことも大きい。

 --本体デザインにもこだわっている

 最初に発売したモデルは、30~40代の女性をターゲットにしている。武骨なものだと、棚の奥にしまわれて使われなくなる。人の目に触れるリビングに置いていても違和感のないように、でっぱりのないすっきりしたデザインにした。そのため、機械内部の構造の調整に苦労した。操作は全てスマホから行う。無料の専用アプリをダウンロードして、さまざまなデザイン、フォントの中から好きなものを選び、データを本体に飛ばせばラベルが印刷される仕組みだ。

 --1月に発表した新機種のポイントは

 印字できるラベルテープの幅を12ミリから24ミリに広げた。幅広くしたことで、店のロゴマークや画像、QRコードも印字できるようになった。小ロットの商品のためにラベルを外注することなく、店舗で製作できるようになる。個人経営のカフェや小売店などでの活用を提案している。また、スマホだけでなくパソコンにも対応している。発売は2月15日を予定している。

 --新機種発表に合わせ、専用アプリも進化させた

 自分が撮った写真や動画データをQRコード化するには、ノウハウが必要だった。新機種の専用アプリでは自動的にQRコードが作成され、好きな動画や画像とひもづけできるようになった。例えば、ヘアサロンで顧客の髪のセット方法を動画に撮り、QRコード化してラベル印字する。ショップの名刺に貼って顧客に渡せば、自宅でもそのセット方法を確認できるという使い方もある。これは“優れモノ”だと自負している。

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 ■フジテレビ商品研究所

 「企業」「マスコミ」「消費者」をつなぐ専門家集団として1985年に誕生した「エフシージー総合研究所」内に設けられた研究機関。「美容・健康科学」「IPM(総合的有害生物管理)」「食品料理」の各研究室で暮らしに密着したテーマについて研究している。

 http://www.fcg-r.co.jp/lab/