動き出す原発再編 他電力は東電との連携に警戒感 

 
記者会見する中部電力の勝野哲社長=16日午後、東京都千代田区

 東京電力ホールディングスの東通原発の建設や運営に、ほかの大手電力も加わることで原発事業の再編・統合が動き出す。東電と株主の政府は投資負担の軽減などで採算を改善し、原子力事業の維持を狙う。他電力も再稼働が進まない中、技術力や人材の確保につなげることを期待するが、巨額の賠償を抱える東電との連携に警戒感は根強い。

 中部電力の勝野哲社長は16日の記者会見で、東通原発の共同事業化について「連携するメリットがあれば検討する」と述べた。

 東電は昨年5月に策定した経営再建計画で、企業価値向上策として原子力事業の再編・統合を明記。同11月には、原発関連施設が集中する青森県の立地を生かし、東通原発の共同事業を他電力やメーカーに呼びかけ、再編の契機にする考えを示した。

 背景には投資負担やリスクの拡大がある。福島第1原発事故後の新規制基準で、各原発の追加の安全対策費は数千億円規模に上る。訴訟による稼働停止の恐れもあり、「(東通原発で)各社それぞれが原発を新増設する時代なのかどうかを検討したい」(東電幹部)考えだ。

 政府が改定を議論するエネルギー基本計画で新増設など原発の将来像の明示が難しくなる中、原発を保有する大手電力には技術力や人材の維持にも危機感が強い。関西電力の岩根茂樹社長は「事業者間の連携は技術や人材も含めて重要だ」と指摘する。

 ただ、各社の思惑は入り乱れている。東電や政府が再編・統合で原子力事業の収益確保を目指す一方、他電力には「巨額の賠償を抱える東電の原子力事業を押し付けられる」との懸念がある。実際、関電の岩根社長は、四国電力など4社で結んでいる原子力の技術協力協定を例に挙げ、「現行体制を維持しながら、共通課題について提携を組んでいく」と再編まで踏み込むことには消極的だ。

 各社が描く連携の形を再編・統合に発展させることができるか。東電の経営再建のみならず、電力業界の未来を左右する。(会田聡)

【用語解説】東京電力東通原発

 青森県下北半島の東通村に建設中の原発。平成23年に1号機が着工し、2号機も建設予定。改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)で、出力は2基とも138万5千キロワットになる計画。福島第1原発事故の後は工事が滞っている。建設地の近くには17年に運転を開始した東北電力の東通原発があるが、東日本大震災後は動いていない。