燕の技術、五輪の銀盤で輝け 8社試作のフィギュア用ブレードに高評価

 
ブレードの試作品を手にする県スケート連盟の伝井達理事長

 培ってきた技術の高さを生かし、新潟県燕市内の金属加工会社8社が共同で開発してきたフィギュアスケートのブレード(刃)の試作品が完成した。出来栄えへの評価は高く、手応えは十分。品質の改良やコストダウンを今後進め、五輪などに出場するトップ選手向けのグレードの高い製品に加え、1万5千円程度に価格を抑えた一般用の量産モデルも開発し、新たな分野の需要開拓につなげたい考えだ。(松崎翼)

 フィギュア用のブレードは現在、英国など海外メーカーの製品が市場の大半を占めている。ただ品質に不安定な面があり、価格も割高だとして国内の選手や関係者から改善を求める声が上がっていた。

 県スケート連盟の理事長で自らも選手だった伝井達(いたる)さん(46)は、燕市の企業が持つ技術を生かすことを発案。賛同した8社が昨年8月に開発研究会を立ち上げ、今年1月から試作品づくりを進めていた。

 燕製ブレードの滑り具合を確かめるため、新潟市中央区の新潟アサヒアレックスアイスアリーナで20日、試滑走を実施。審判員や指導者として活動する元選手の岡崎真さん(41)は片方の足に試作品、もう片方には海外製を付けて試したが「思っていたよりも燕製はよく滑り、感動した。これからどうなるのか楽しみだ」と合格点をつけた。

 8社は研磨や焼き入れ、加工などの各工程を分担して開発に当たったという。上々の出足に、溶接を担当したゴトウ溶接の後藤英樹社長は「さらに改良して『メード・イン・ジャパン』はやっぱりすごいと思ってもらえるようにしたい」と意欲満々。他のメンバーも「3年後には量産化までもっていきたい」「ブレードづくりに誇りを感じる」と、夢と期待を膨らませる声が上がった。

 この日は6回目の開発会議を開き、ブレードの適切な厚さや形状のほか、滑り具合を数値化して検証する方法を話し合った。伝井さんは「燕の企業ならプロの注文にも対応できる。各社が分担することで本業を圧迫せず、量産化が実現できる」と太鼓判を押した。

 また、プロジェクトを支援する燕市の鈴木力市長に岡崎さんが試滑走の結果を報告。鈴木市長は「試作品の評価が高くて良かった」とした上で、五輪金メダリストの羽生結弦選手が目標とする4回転半のジャンプに触れ「初めて飛んだときのブレードになれたらすごい。引き続き頑張ってほしい」と期待を込めた。