不祥事企業、新人に再建託す 各地で入社式、不安な胸中に配慮する発言も
新年度の仕事始めとなった2日、全国各地の多くの企業で入社式が開かれた。新社会人は推定で約93万人。品質問題などの不祥事や経営危機に揺れた企業のトップは、失墜した信頼の回復や経営再建を訴え、新入社員に再起を誓った。
「不正会計などで3年にわたり極めて困難な状況に直面したが、日本を代表する企業に復帰させる」。東京都港区の本社で入社式を開いた東芝では、1日に会長兼最高経営責任者に就任した車谷暢昭氏が212人の新入社員に決意を語った。
東芝は昨年度に新卒の一括採用を見送っており、入社式は2年ぶり。債務超過解消にめどをつけ、危機的状況は脱したが、再建は道半ばだ。車谷氏は「困難な時期こそ人は成長する。素直に学び、情熱を持って仕事を成し遂げてもらいたい」と呼びかけた。
製品データ改竄(かいざん)など不正が露呈した企業のトップが一様に強調したのは、再発防止だ。前社長の引責辞任を受け1日付で就任した神戸製鋼所の山口貢社長は、神戸市で行われた入社式で「ガバナンス(企業統治)や企業風土の抜本的な改革を推し進めていくことが私の最大の使命」と宣言。東レの日覚昭広社長は「しっかりした心構えと高い倫理観を持って行動していただきたい」と新入社員に要求した。
新車の無資格検査問題が発覚したSUBARU(スバル)の吉永泰之社長は545人の新入社員に「困難なことが起きたとき、逃げずにまっすぐ取り組むことが一番大事だ」と信頼回復への決意を強調した。
また、昨年12月、新幹線のぞみの台車に破断寸前の亀裂がみつかったJR西日本では、来島達夫社長が「改めて新幹線を含む安全マネジメントの強化に取り組んでいる」と述べた。台車を製造した川崎重工業の金花芳則社長は「社員一人一人が製品の安全性の重要さを再認識し、モノづくりを行っていくことが重要」と訴えた。
一方、不祥事企業への入社で不安な胸中の新入社員に配慮する発言も相次いだ。不正融資が発覚した商工中金の関根正裕社長は「皆さんだけでなくご家族の方々にも精神的な負担をおかけし、率直におわび申し上げる」と謝罪した。
リニア中央新幹線の建設工事をめぐる談合事件で、独占禁止法違反の罪で法人として起訴された清水建設の井上和幸社長は、高い倫理観の浸透を強調した上で「皆さんには萎縮することなく、正々堂々と前向きな気持ちで社会人としての第一歩を踏み出してほしい」と語りかけた。
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