苦境の大塚家具がまた新機軸 初のブランド特化型専門店 全商品担保で借入枠も設定
2017年12月期決算で72億5,993万円の当期純損失を計上した大塚家具は3月、東京・南青山にフラッグシップショップ「Poltrona Frau Tokyo Aoyama(ポルトローナ・フラウ東京青山)」をオープンした。新たな取り組みで今後の真価を問われる。(東京商工リサーチ特別レポート)
◆イタリアを代表するラグジュアリーブランド
オープン前日の3月16日、大塚久美子社長が同店舗で会見した。
イタリアの老舗高級家具ブランド「ポルトローナ・フラウ」は、大塚家具が2006年から日本総代理店として扱っていた。
大塚家具が南青山にオープンした店舗は、「ポルトローナ・フラウ」が日本で初めて公式認定したフラッグシップショップとなる。大塚家具では初のブランド特化型専門店で、大塚社長は「成功したい」と意気込みを話した。
「ポルトローナ・フラウ」は1912年にイタリアで創業した老舗家具メーカー。ソファーやアームチェアーを得意とし、フェラーリなど高級車のシートも手掛けている。
大塚社長とともに会見した「ポルトローナ・フラウ」のゼネラルマネージャー、ニコラ・コロプリス氏は「成功に向け大塚家具と歩んでいく」と抱負を語った。
大塚社長は数あるハイエンド家具メーカーのなかから「ポルトローナ・フラウ」を選んだ理由を聞かれると、「鍵は両社が成功を望んでいるかどうか」と話し、「(両社は)考えが一致している」と説明した。
◆カギ握る法人向けコントラクト
大塚家具は2018年12月期の法人向けコントラクト(建装)売上を61億円と、2017年12月期の20億円から大幅増を見込んでいる。
大塚社長は「BtoB(企業向けビジネス)やBtoBtoC(企業が消費者に販売仲介するビジネス)を強化するためにもポルトローナ・フラウの店舗は重要な役割を担う」と説明した。
大塚家具はこれに先立つ3月7日、新宿ショールーム8階を提携するティーケーピー(東京都新宿区)に初めて委託し、イベントホールとすることを発表している。
かつての大型店舗からより身近な次世代店舗の構築を進めており、ティーケーピーへの委託やブランド特化型専門店の出店はその一環となる。大塚家具は2018年12月期上期の当期純利益を4億7000万円の黒字と見込んでいる。
◆9四半期ぶりの最終黒字を見込むが
5月に公表される2018年12月期第1四半期(1-3月)で、不動産流動化に係る特別利益の寄与で2015年12月期の本決算以来、9四半期ぶりの当期利益の黒字が見込まれる。
店舗売上高は不振が続き、今年3月まで8カ月連続して前年同月を割り込んでいた。利益を押し上げたのは固定資産売却益11億1800万円だ。この不動産流動化で生まれる11億1800万円の特別利益だが、大塚家具によると「キャッシュフローに影響しない」という。
2年前には110億円と潤沢だった現預金も、2017年12月期は18億678万円まで激減した。それでも大塚家具は無借金経営を続けている。
◆複数の金融機関から50億円の借入枠
とはいえ、2017年12月末までに、大塚家具は複数の金融機関とコミットメントライン契約を結んだ。これで50億円の借入枠を確保している。その枠と引き換えにしたのは、すべての在庫商品など総額141億5671万円の担保提供だった。
大塚家具の担当者は、「各店舗や流通サービスセンターに商品がある。移動する場合や入れ替わりもあり商品を限定すると煩雑になり、全商品を担保とした」と説明する。また、「商品は販売されてなくなるものもあり、入れ替わっていくイメージ」と語り、新たな仕入れ商品在庫も担保提供する意向だ。
大塚家具には今年1月4日と3月9日(4月2日登記確認)、金融機関が動産譲渡登記を設定していることがわかった。東京商工リサーチの取材に対し、「(この動産譲渡も)コミットメントライン契約によるもの」と説明した。
大塚久美子社長は決算会見で「利益が計画通りなら無借金継続」と語った。先代の大塚勝久社長時代の1990年後半から無借金経営を続けるだけに、借入には抵抗があるようだ。
だが、積み上がる在庫。減少する現預金。資金調達の準備と無借金経営へのこだわり。
迷走する業績に南青山の新店舗などの新たな事業が風穴を開けるか、動向が注目される。
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《東京商工リサーチ特別レポート》大手信用調査会社の東京商工リサーチが、「いますぐ役立つ最新ビジネス情報」として、注目の業界や企業をテーマに取材し独自の視点に立った分析をまとめた特別レポート。随時掲載します。
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