アスクル、30年までに配送用車両100%EV化 再配達率2%、CO2大幅削減

 
アスクルが導入しているEV。ロハコのブランドロゴをデザインしている(アスクル提供)

 オフィス用品通販大手アスクルは昨年11月、企業による電気自動車(EV)の使用や環境整備促進を目指す「EV100」と、事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が参加する「RE100」という2つの国際企業連合に加盟した。双方に加盟する日本企業はアスクルが初めてで、配送用車両のEV化や再配達の削減など環境に配慮した事業運営を進めている。

 2つの国際企業連合加盟

 2つの国際企業連合は、英国の非営利組織クライメイト・グループが主催しており、「企業が炭素排出を減らし、気候変動の影響に対する強靭(きょうじん)性を強めると同時に、企業利益を生み出していくことの支援を目的」としている。

 アスクルはEV100への加盟によって、2030年までに物流センター運営と配送を行う子会社アスクルロジストが所有したり、リースで使う配送用車両を全てEV化することを目指す。

 RE100では、中間目標として25年までに本社と物流センターでの再生エネ利用率を100%にすることを掲げるほか、最終目標には、30年までに子会社を含めたグループ全体での再生エネ利用率を100%にすることを目指す。

 アスクルはこれらに先立つ16年の「アスクル環境フォーラム」で、原材料調達から顧客への商品配送までの全体で二酸化炭素(CO2)削減を目指す取り組み「2030年CO2ゼロチャレンジ」を宣言。2つの加盟はこれらを具体化したものだ。

 宣言にあわせて、日産自動車の100%電気商用車「e-NV200」を導入。現在は、アスクルロジストの配送用車両約200台のうち12台がEVだ。12台は「世田谷デポ」(東京都世田谷区)と「新木場物流センター」(同江東区)の2カ所の物流拠点に配備され、法人顧客や同社の個人向け通販「ロハコ」向けの配送に使われている。

 導入にあわせて両拠点にはEV用充電装置を設置した。1回の充電で190キロの走行が可能となり1日分の配送距離を1回の充電で賄えるため、運転手が日中にガソリンスタンドへ寄る手間をなくすことができ、負担軽減にもつながっているという。

 また、ロハコ向けは、配送時間を1時間単位で指定できたり、配達10分前に通知がある受け取りサービス「ハッピーオンタイム」の配送でEVを使用している。

 「置き配」サービスも導入

 国土交通省によると、一般的に宅配便の再配達率は約19%で、年間約1.8億時間が再配達に費やされている。さらに再配達によるCO2排出量は年間41.8万トンで、スギの木なら約1.7億本の年間CO2吸収量に相当する。

 だが、同社はハッピーオンタイム導入により、再配達率2%を実現することに成功。顧客満足度の向上につながったほか、大幅なCO2排出削減にも貢献している。

 同サービスでは、玄関先など指定の場所に荷物を置く「置き配」と呼ばれる仕組みも導入。配達員が荷物を置いた場所を撮影して購入者に専用アプリで写真を送って知らせるサービスだ。こうした細かなサービスも再配達とCO2の削減につながっている。

 ただ、完全EV化に向けた悩みは商用EVの種類の少なさ。個別配送拠点からの近距離配送に特化した車両などがあると望ましいといい、アスクルの東俊一郎・環境CSR部長は「EV100の加盟によって需要が広く伝わったり、加盟企業同士で課題を共有することで商用EVの裾野が広がれば」と話している。(西岡瑞穂)