20年度物価見通し 増税影響「限定的」、懐疑的な声
日銀が展望リポートで初めて示した2020年度の物価上昇率見通しは、前年度と同水準で推移し19年10月に予定されている消費税増税の影響を限定的ととらえるものとなった。ただ、日銀の金融緩和政策がここまで長引いたきっかけは前回14年の消費税増税にあり、日銀の“楽観的”ともとれる見通しには、懐疑的な声も上がっている。
「前回増税時と比べると、不確実性は大きいものの、小幅なものにとどまると予想される」
展望リポートでは、消費税増税の影響についてこう記し、20年度の物価見通し(増税の影響を除く)についても前年度比1.8%の上昇と、19年度の水準から変えなかった。
日銀がそうみるのは、14年に8%に増税した際は3%引き上げたが、今回は2%にとどまり、生活必需品の消費税率を低く抑える「軽減税率」が導入されることなどが大きい。
また前回は1年半後に2%の再増税が予定されていたこともあり、増税前の駆け込み需要の反動で起きる消費の低迷が3%の増税を上回る規模で発生したとされ、次の増税では当時ほどの影響は出ないという見方が、日銀では大勢を占めている。
ただ、エコノミストの豊島逸夫氏は増税について「極めて憂慮している」と話す。数字以上に「消費税増税」という言葉の心理的重みは国民に大きく作用するからだ。増税の翌年にある東京オリンピック・パラリンピックの設備投資が一巡することも懸念材料だという。
14年の増税時は前年同月比で1.5%あった消費者物価指数(生鮮食品を除く)が、翌年同月にはマイナス0.1%にまで落ち込み、日銀がこれまで計6度にわたって、2%の到達時期の見通しを先延ばしする引き金になっているだけに、楽観はできないとする専門家は多い。
一方で財務省の決裁文書改竄(かいざん)問題など政権内で不祥事が相次ぐ中、消費増税の先送りもささやかれ始めている。
来年は統一地方選挙も控えており、秋の自民党総裁選で地方から反発が出れば、増税先送りは現実味を増すことになる。日本経済の先行きは不透明感が強まっている。(蕎麦谷里志)
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