東北電、風力受け入れ拡大 コネクト&マネージ 接続容量最大6割増
電力業界で、既存の送配電網を最大限に活用する手法「コネクト&マネージ」が注目を集めている。東北電力は、風力発電など再生可能エネルギーの接続受け入れを拡大するため日本で初めて採用。経済産業省も4月から順次適用する方針を決め、再エネ普及を後押ししている。
東北電は現在、風力など発電事業者からの接続増加を踏まえ、秋田県や山形県で高圧送電線(50万ボルト)の約100キロの整備や変電所の新設などを計画している。昨年3月に新規に接続容量280万キロワットの枠を設け、接続を希望する事業者を募集した。
これに対し、6月末の1次段階は応募枠の6倍弱に相当する1603万キロワット分(385件)の応募が殺到。8月の第2段階でも1545万キロワットが残り、約8割を風力発電が占めている。
東北電は最大限に受け入れを増やす必要があると判断し、コネクト&マネージの一部手法を先行的に適用する方針を決めた。従来、送配電網への接続は、契約する全ての電源が送電しても容量オーバーで停電などに陥らないよう十分な容量を確保するよう求められてきた。だが、稼働を停止している発電所の容量が「空き」になるなど「非効率」と批判があった。
今回の募集は、停止中の発電所の容量を除くなど想定を合理化することで、接続容量を350万~450万キロワットまで拡大。受け入れ枠を最大6割拡大し、入札に向けた調整を続けている。東北電は、「既存の施設を最大限活用できるよう、今後の制度設計の議論を注視したい」と話す。
経産省は4月に再エネ導入拡大策の一つとして、東北電が先行的に始めた送電量の想定を合理化する手法を全送配電事業者に適用するよう指示。さらに、落雷による送電線の切断など緊急時の予備として確保する容量も、緊急時は発電を止めるなどの条件付きで利用を認めるようルールを見直し、9月末までに適用を始める方針だ。経産省は長期のエネルギー戦略で、再エネの「主力電源化」を目指す考えを示しており、コネクト&マネージの浸透が普及の鍵になりそうだ。
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