アジア需要増、LNG投資相次ぎ再開 大手商社が参画、原油相場が持ち直し採算性改善
資源価格の低迷で事実上凍結されていた液化天然ガス(LNG)の大型開発プロジェクトが相次いで再開する。三菱商事が参画するLNG事業「LNGカナダ」はこのほど、エンジニアリング大手の日揮などに生産プラントの受注が内定し、今秋にも開発投資が最終決定される見通し。三井物産も、遅れていたLNG開発事業「モザンビークLNG1」の投資を今年度内に決定する方向で調整する。大気汚染対策で環境規制を強化した中国のLNG輸入の急増や、LNG価格の指標となる原油相場の持ち直しで事業の採算性が改善し、新規開発の機運が高まってきた。
計画凍結から一転
LNGカナダは、石油メジャーの英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが開発を主導し、西海岸のブリティッシュ・コロンビア州に年産約1400万トンのLNGプラントを建設する事業。三菱商事などが参画するモントニーのシェールガス田などからガスを調達する。
シェルは2016年7月、資源安を受けて、同事業の最終投資決定の時期を当初計画の16年末から延期すると発表。決定時期を未定とし一旦、計画を凍結していたが、今年4月に入り日揮や米フルア連合による約1兆5000億円でのプラント設計・建設の受注が内定し、計画が再び動き出した。LNGカナダの事業は日本への輸送日数が10日以内と、米メキシコ湾や中東に比べ短く、競争力も高いことから、シェルや三菱商事は最終投資決定に向けて、LNGの販売先契約を詰めている。
一方、三井物産が米アナダルコなどと参画するアフリカのモザンビークLNG1は年産約1200万トンの事業。今年2月に現地政府が開発計画を承認。東北電力との販売基本合意に続く、契約締結を進める。
また、豪州では、三井物産や三菱商事が参画する「ブラウズLNG」事業の建設が延期されていたが、同事業も建設計画を変更しコストを削減した上で再開を目指す。海盆のガス田から約900キロ先の既存の北西大陸棚LNGにガスを輸送する方式に変更する。このほか、米エクソンモービル主導でJX日鉱日石開発が参画するパプアニューギニアのLNG事業拡張や競争力の高いカタールのLNG拡張も動いている。
余剰分の転売カギ
LNGの新規開発計画の投資決定はこの2年ほど、数件を除いて凍結されていたが、北米シェールガスの増産で当面は供給過剰が続くとみられていた。
だが、ここにきて、2023年頃とされたLNGの需給逆転時期が2年程度前倒しになるとの見方が強まっている。習近平国家主席主導の大気汚染防止対策による石炭から天然ガスへの燃料シフトが進み、中国の昨年のLNG輸入量が3800万トンと前年比5割弱も急増。韓国を抜いて世界第2位の輸入国に浮上するなど、アジアを中心に需要の拡大が見込まれるためだ。
ただ、大型開発が再開する中、日本向けのLNG供給は原発再稼働の動向次第では余剰が発生する懸念もある。LNG開発に参画する大手商社が収益を確保するには、スポット(随時契約)なども含めて、余剰分をどうアジアなどで転売できるかがカギとなりそうだ。(上原すみ子)
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■投資再開に動く主なLNG事業(事業名/参画企業)
・LNGカナダ(カナダ)/英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル、三菱商事など
・モザンビークLNG1(モザンビーク)/米アナダルコ、三井物産など
・ブラウズLNG(豪州)/豪ウッドサイド・ペトロリアム、三井物産、三菱商事など
・サハリン2の拡張計画(ロシア)/露ガスプロム、三井物産、三菱商事など
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【用語解説】世界のLNG需要
中国の需要急増もあり、2017年に前年比10%増の2億8500万トンに拡大した。加えて世界的な海の環境規制強化によるLNG燃料船導入やアジアの新興国のLNG輸入増を背景に、ロイヤル・ダッチ・シェルは世界のLNG輸入量が35年までにアジアを中心に現在の2倍になると予想している。
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