ゼロックス、富士フイルムHDによる買収合意破棄 大株主に配慮 富士フイルムは提訴検討

 
富士フイルムホールディングス本社が入るビルに掲げられたロゴ=東京都港区

 富士フイルムホールディングス(HD)が買収することで合意していた米事務機器大手ゼロックスは13日、富士フイルムHDによる買収計画を破棄し、買収に反対する大株主と新たに和解したと発表した。経営陣を大幅に入れ替え、買収の代替案を検討する。富士フイルムHDは今後訴訟も検討するとのコメントを公表した。

 ゼロックスと株主の和解は2度目。ゼロックスは合意の破棄を富士フイルムHDに通知した。富士フイルムHDは買収計画の大幅な見直しを迫られそうだ。

 買収計画を進めてきたゼロックスのジェイコブソン最高経営責任者(CEO)は辞任。他の取締役5人も辞めた。買収に反対する大株主で著名投資家のカール・アイカーン氏らがゼロックス取締役会に計5人を送り込み、取締役会の過半数を握る。

 ゼロックスは合意破棄の理由として、富士フイルムHDが4月15日までにゼロックスに提出する予定だった富士フイルムHD傘下の富士ゼロックスの監査済み財務諸表が期限までに提示されなかったことなどを挙げた。

 富士フイルムは1月、ゼロックスの買収計画を発表。この計画はゼロックスに不利な内容だとして別の大株主の米実業家が差し止めを求める訴えを起こした。ゼロックスは今回、この訴訟についても和解した。

 ニューヨークの裁判所が4月27日、ゼロックス経営陣による交渉を不適当と判断し、富士フイルムHDによる買収を差し止める仮処分を出した。

 ゼロックスとアイカーン氏らは5月1日に和解を発表したが、和解案は3日に失効。ゼロックスは4日に仮処分決定を不服として上訴し、富士フイルムHDとの協調路線に戻ったばかりだった。

 富士フイルムHDは14日、同社による買収計画を米ゼロックスが破棄すると発表したことについて「ゼロックスには一方的に契約を終了する権利はなく抗議する。今後訴訟や損害賠償請求も含めた適切な手段をとっていく」とのコメントを出した。(共同)