健康経営に一役! オフィスで広がる「ベジ活」とは?

 
季節の野菜サラダ、カットフルーツ、野菜ジュースなどが配達される「スタンダードプラン」。社員は1個100円で食べることができる

 みなさんは昼食にどんな物を食べているだろうか。ビジネスパーソンにとって、ランチは大切な栄養補給の時間。でも、忙しさのあまり、コンビニ弁当やファストフード、菓子パン、カップ麺などで済ませていないだろうか。

 厚生労働省の指針(国民の健康・栄養調査、2015年)によると、成人が1日に必要な野菜は350g。しかし実際の摂取量は293gしかない。この数字は全世代の平均値なので、20代、30代はさらに低くなっている。大半の人は野菜不足と言っていい状態だ。

 野菜がたくさん入った弁当を持っていく、ランチに野菜を一品プラスする、コンビニでサラダを買う。こんな工夫でも野菜は摂れるが、毎日続けるとなると、少し面倒でもある。そこで、もっと手軽に野菜を摂れる方法が、今人気を集めている。

 オフィスに専用の冷蔵庫を設置、野菜が配達されるサービス

 「OFFICE DE YASAI/オフィスで野菜」はそのひとつ。オフィスに専用の冷蔵庫を設置し、そこへ定期的に野菜サラダやカットフルーツ、野菜ジュースなどが配達されるサービスである。社員は冷蔵庫から好みの品を取り、自由に食べることができる。昼食時のサイドメニューはもちろん、ちょっと気分転換したいとき、夕方に小腹がすいたときにも簡単にビタミンを補給できるサービスだ。代金は企業側が半額を負担する仕組みになっている。

 現在、OFFICE DE YASAIには、4つのコースが用意されている。まずは「スタンダードプラン」。季節の野菜サラダ、カットフルーツ、野菜ジュースなどがあり、1個100円。週に2回、専門の配達員が新鮮な商品をオフィスまで届けてくれる。

 もっと野菜を食べたいという方には「サラダごはんプラン」がある。ビタミン、ミネラル、たんぱく質、食物繊維など、成人が1日に必要な栄養素を満たしたサラダだ。野菜に加え、チキンや豆類などが入っており、これ一品で昼食代わりになる。こちらは1個300円。

 その他、日替わりの弁当が届く「ランチプラン」や無添加の総菜が冷凍便で届く「フローズンプラン」があり、オフィスの状況や予算によって選ぶことができる。

 趣味でつながる恋活サービス「タップル誕生」を運営している「マッチングエージェント社」では、以前は置き菓子のサービスを利用していた。ところがチョコレートやスナック菓子の食べ過ぎで、太ってしまう社員が増えていった。何か良い方法はないかと探していたところ、OFFICE DE YASAIなら健康に良い野菜や果物で小腹を満たすことができると知り、導入を決めた。

 「新しい商品が配達されるのは、毎週月・水・金です。今では届くのが楽しみで、仕事中の気分転換にもなっています。これまでは抜いてしまいがちだった朝食としても利用しており、朝から健康的な食事を摂ることが日課になりました。また、女性社員の間では朝、ヨーグルトやフルーツを食べることで便秘が解消されて、美容や健康にも役立っています」と同社の担当者は感想を話す。

 配送料の問題でうまくいかず…ならば

 このサービスを立ち上げたのは、株式会社KOMPEITO(コンペイトウ)代表取締役社長の川岸亮造さん。

 「事業を始めた当初は、農家から個人宅に野菜を宅配するサービスを行っていました。しかし、配送料の問題でうまくいかなかったんです。ならば人が集まる場所へ野菜を持って行けばどうかと考え、オフィスへ野菜を宅配するようになりました。そのサービスを通して、会社で健康的な食事ができない、オフィスで手軽に野菜を食べられるとありがたい、という声が寄せられるようになったんです」(川岸さん)

 そういった声を受けてリリースしたのが、OFFICE DE YASAIである。現在、導入している企業は700社。社員5名程度の小さなオフィスでも利用できるとあって、その数は年々増えている。ちなみに、スタンダードプランの場合、冷蔵庫の設置やメンテナンス費用を含めて月額4万円から(週に2回、月100個の配達)から始められるので、福利厚生のひとつとしても手軽に始めることができる。

 「導入してから社員が健康に気づかうようになったという声は多いです。それだけでなく、仕事に集中できるようになり、生産性が上がったという声もいただいています。自社のWEBサイトやブログに、導入していることを書くと、健康に配慮して社員を大切にしている会社だというイメージが伝わり、会社自体の好感度も上がっているようです」(川岸さん)

 今後は個人向けにも展開したい

 実際に、IT関連企業である「トレジャーデータ社」では、OFFICE DE YASAIを導入してから社員が自然と集まって食事をするようになった。同じ場所に集まり、雑談しながら食事することで、イノベーションが起こりやすくなった。新しいビジネスアイデアも生まれるし、食事だけでなく一人分のスペースとしても広く働きやすい環境も整備したことで、より仕事の効率も上がるという好循環になっているという。

 「現在はオフィス対象のビジネスですが、今後は個人向けにも展開したいと考えています。会社で食べた野菜がおいしかったら、自宅で家族と一緒に食べたり、贈り物にしたりもできるように拡充したいと構想しています」(川岸さん)

 「健康経営」が、これからの会社経営には重要だと言われている。社員が健康を維持できる環境こそが、企業にメリットをもたらす時代が到来している。オフィスの福利厚生担当者は、一度、社員の健康状態をチェックしてみてはいかがだろうか。

(吉田由紀子/5時から作家塾(R))

 《5時から作家塾(R)》 1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

▼5時から作家塾(R)のアーカイブはこちら