【新潟県知事選】柏崎刈羽、再稼働見通せず 東京電力、経営戦略見直しも
柏崎刈羽原発の6号機(右)と7号機=新潟県
24日に告示された新潟県知事選では、選挙戦の行方がどうあれ、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働について地元同意を得ることは容易ではない。与野党が推す候補はいずれも再稼働を明言していないためで、原発を再建の柱に据える東京電力ホールディングスには厳しい経営環境が続きそうだ。
九州電力の川内原発(鹿児島県)など再稼働が実現した原発は、各電力会社が電力を供給する地域に立地。県民は安全性はもちろん、原発が値下げや電力の安定供給につながるといった経済性も考慮して再稼働の是非を判断する。
しかし柏崎刈羽原発は違う。東電は基本的に新潟県内に電力を供給しておらず、再稼働しても県民には値下げなどのメリットが感じられないため、より再稼働には慎重になるようだ。
実際、米山隆一前知事まで新潟県知事には2人続けて再稼働慎重派が就任。今回の知事選も与野党対決の構図だが、いずれの候補も再稼働には慎重だ。
ただ、政府は米山前知事の辞職後も「地元の理解を得ながら再稼働を進める」(世耕弘成経済産業相)方針を変えていない。
東電の経営再建計画は早ければ平成31年度の柏崎刈羽原発の再稼働を前提とする。火力燃料費を減らせるため、原発1基の再稼働で年500億~1100億円の経費削減を見込む。だが再稼働が進まず収益力が回復しなければ、巨額の賠償や廃炉費用を捻出するため経営戦略の見直しも迫られかねない。(大柳聡庸)
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