日本原電、“本業”復活に高いハードル 新規事業推進も厳しい環境続く

 

 2018年3月期に増収増益となった日本原子力発電だが、東海第2原発と敦賀原発2号機は停止したままで、再稼働の時期は見通せない。11年の東京電力福島第1原発事故後に原発を取り巻く状況が激変して原発専業のモデルが逆風となる中、近年は新規事業も推進しているが、村松衛社長は「全体として厳しい状況に変わりはない」とした。

 日本原電は原発で発電した電力を電力大手に販売する原発専業で、大手9社と電源開発が約90%を出資。ただ、東海第2と敦賀2号機は同年以降、ともに稼働していない。そうした中で収益源となっているのが、電力の買い手である大手5社から設備の修繕費用などとして受け取る年間1000億円強の「基本料金」だ。

 日本原電は東海第2の再稼働を目指すが、今年11月には原則40年の運転期限を迎える。再稼働と最長20年の運転延長には、新規制基準に基づいた再稼働審査、運転延長の審査、設備の詳細設計をまとめた工事計画の審査を同月までに通過できなければ廃炉となる。

 安全対策に必要な資金は1740億円に上るが、稼働する原発がない日本原電が自力で工面するのは難しい。このため、日本原電は東京電力ホールディングス(HD)と東北電力に支援を要請。日本原電は4月5日の原子力規制委員会の審査会合で2社から支援意向が示されたと報告した。

 ただ、審査を通っても再稼働には地元自治体の同意が不可欠だ。日本原電は3月、立地する東海村に周辺5市を加えた新たな安全協定を結んだが、同意を得る自治体の数が増えて再稼働のハードルは上がった。

 一方、敦賀2号機も原子炉建屋直下に活断層がある疑いが指摘され、再稼働の見通しは立たない。敦賀では3、4号機の増設計画もあるが、国のエネルギー基本計画の素案では原発の新増設を明記していない。近年は、海外ビジネスや東電福島第1原発の廃炉に向けた作業の支援などの新規事業に力を入れ、「全体で30億円強の収益を得ている」(村松社長)。ただ、抜本的な収益改善に向けては本業の発電による電力の販売の復活が欠かせない。(森田晶宏)