サラリーがリッチな業界は…上場企業徹底調査 「ブラック」業種にも異変?
2017年の上場企業の平均年間給与は6年連続で上昇した。だが、伸び率は2年連続で鈍化する一方、「ブラック」とされる業界や不祥事を起こした企業でも意外な結果がみられた。さて、あなたの会社は?(東京商工リサーチ特別レポート)
◆伸び率が鈍化したからくりは?
調査は2017年決算(1月~12月)の全証券取引所の上場企業を対象に有価証券報告書で平均年間給与(以下、平均給与)を抽出した。対象は、2011年から2017年決算まで連続比較が可能な2681社(持株会社、変則決算企業は除く)。
平均給与は599万1000円(中央値586万3000円)で、前年の595万3000円から3万8000円(0.6%)増えた。2011年に調査を開始以来、6年連続で前年を上回った。
ただ、増加率は2年連続で前年を下回り、縮小している。これは2681社のうち、1622社(構成比60.4%)で従業員数が増えており、積極的な人材採用も平均給与の伸び率鈍化につながった一因とみられる。
国税庁の「平成28年分民間給与実態統計調査結果」によると、2016年の民間企業の平均給与は421万6000円(正規486万9000円、非正規172万1000円)で、2017年の上場企業の平均給与と比べ、正規社員で1.2倍(112万2000円)、非正規では3.4倍(427万円)の格差があった。
◆金融トップはなんとあの“問題”地銀
業種別の平均給与では、最高が建設業の695万3000円(中央値694万9000円)で、2年ぶりにトップに返り咲いた。
一方、最下位は7年連続の小売業で475万円(同463万8000円)だった。建設業とは1.4倍の開きがあるが、4年連続で前年を上回った。小売業は建設業と並ぶ“雇用の受け皿”の側面を持ち、新卒や非正規社員数が多く全体給与が押し下げられやすいが、深刻な人手不足で待遇改善に動いていることがわかる。
増加率トップは、電気・ガス業(前年比2.8%増)。次いで、建設業(同2.7%増)で、2業種は2.0%以上の伸び率だった。電気・ガス業は20社のうち、12社で前年を上回った。東日本大震災で経営環境が悪化したが、ここにきて給与・賞与の改善が進んだ。建設業は146社のうち、109社(構成比74.6%)が前年を上回った。好調な業績が業界全体に波及していることを裏付けた。
減少は、金融・保険業と不動産業の2業種で、いずれも2011年以降で初めての減少となった。金融・保険業は640万4000円(同1.3%減)で、このうち上場銀行70行では、意外にもシェアハウス問題で揺れるスルガ銀行(810万6000円)が唯一の800万円台でトップだった。
◆GCAが貫禄の「4連覇」
個別企業の平均給与は、トップがM&A助言会社のGCAで1559万円。前年(2139万6000円)より580万6000円減少したが、4年連続でトップを守った。
2位は不動産業のヒューリックで1530万6000円。都心の駅近に多くのオフィスビルや賃貸マンションを保有し、高収益を反映して前年(6位、1418万4000円)から4ランクアップ。
3位は朝日放送で1515万8000円。2015年以来、2年ぶりに平均給与が1500万円台に回復し、前年(4位、1498万円)から1ランクアップした。
4位は中小企業のM&A仲介では最大手の日本M&Aセンターで1418万8000円。中小企業のM&Aニーズを背景に好業績を維持し、前年(10位、1237万4000円)から6ランクアップ。
◆強さ見せつけた「総合商社」
5位以下には総合商社が5社ランクインした。5位の三菱商事(1386万2000円)から6位の伊藤忠商事(1383万8000円)、8位の住友商事(1255万1000円)、9位の丸紅(1221万3000円)、10位の三井物産(1213万5000円)と、資源価格の回復と非資源分野の収益拡大で損益が改善。丸紅(前年11位)は2年ぶりにトップ10に入った。
このほか、工作機械用NC装置製造のファナックが1318万3000円で7位となった。
トップ10のうち、総合商社が5社ランクインし平均給与の高さが際立った。また、中小企業の事業承継問題や上場企業の投資拡大を受け、M&A関連も2社ランクインした。
平均給与の社数の最多レンジは、500万円以上600万円未満で820社(構成比30.5%)。次いで、600万円以上700万円未満が685社(同25.5%)だった。500万円以上700万円未満を合算すると1、505社(同56.1%)で半数を超えた。
◆1000万円以上の「大台」は29社
500万円未満は631社(同23.5%)と、前年(649社、構成比24.2%)よりも18社減少し、調査を開始した2011年以降、社数の減少が続いている。
平均給与1000万円以上は29社(構成比1.0%)で前年より1社減少。平均給与2000万円超は、前年はGCAの1社あったが、2017年は2014年以来、3年ぶりにゼロだった。
増加率トップは、通販事業のパス(800万2000円)で前年比76.6%増。経営再建中で、事業再編などにより給与が低い社員が辞め、平均給与が前年より1.7倍増と大幅にアップした。
2位のゴールドウイン(638万円)は前年比47.2%増。前年まで算出方法に販売員を含めていたが、2017年は販売員を除いたため前年より1.4倍に拡大した。
3位の日本伸銅(575万8000円)は前年比43.9%増。人材確保のために賞与が増えたことで平均給与が大幅に増加した。
◇
《東京商工リサーチ特別レポート》大手信用調査会社の東京商工リサーチが、「いますぐ役立つ最新ビジネス情報」として、注目の業界や企業をテーマに取材し独自の視点に立った分析をまとめた特別レポート。随時掲載します。
関連記事