運賃無料配車・運行サービス、勝算は ノモック吉田社長「ターゲティング広告に自信」

 
インタビューに答えるノモックの吉田拓巳社長

 運賃無料の配車・運行サービス会社「nommoc(ノモック、福岡市博多区)」の吉田拓巳社長(22)がフジサンケイビジネスアイのインタビューに応じ、事業計画の詳細を明らかにした。広告収入だけでどう利益を確保し、普及させていくのか-。日本初のサービスの行方が注目される。

 12日夜募集したノモックの株式投資型クラウドファンディングによる5000万円の資金調達は、4分30秒で完了。新しい資金調達手法ながら、投資家の関心の高さを見せつけた。

 吉田氏が、15歳で大型映像イベントを手掛ける「セブンセンス」を起業した著名な映像クリエーターということでも注目を集めた。

 3方向の大型画面

 導入車両は一般のタクシーと同じ普通乗用車タイプで、吉田氏は「後部座席にオリジナルディスプレーを設置する」考え。

 セブンセンスの映像イベントは中国メーカーと開発したLEDディスプレーを使用しており、新サービス向けにも低価格での搭載が可能。「来春からの福岡・天神での実証実験では、ディスプレーは前面のみで10インチ(25.4センチ)程度だが、本格運行に当たっては側面も合わせた3方向にし、大型サイズにする。透明ディスプレーやタッチパネルも採用する」(吉田氏)

 ディスプレーには、同社オリジナルの映像コンテンツや、企業のイメージCMなどのビジュアル性の高い映像のほか、商品やレストランの紹介、バナー広告などを流す。

 大型看板を載せて走る広告トラックは、不特定多数の目を引くことができる。だが、ファン層に狙いを絞ったアニメやファッションブランドのジャック広告にみられるように、「トレンドはターゲティング広告に移っており、一人の乗客への(実際の行動データに基づいた)リアルターゲティングの効果をスポンサーはよく理解している」と吉田氏は話す。

 事前に利用者情報を入力したアプリで配車を依頼し、乗降実績を積むことで、行動パターンに基づいた商品やファッション、飲食店の広告が発信される。企業は利用者データを商品開発やサービスに生かすメリットがあり、「既に企業や大手広告代理店から引き合いがある」(同)。

 運転手確保と運行は

 ノモックには、タクシーの運行管理や運賃システム開発の経験があるタクシー会社の元役員が参画している。福岡・天神での実証実験では10台の車両を24時間運行し、延べ8万4800人を運ぶ計画。実証実験を通じて必要な車両台数や稼働時間を割り出し、東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年には東京、大阪で車両台数2000台を目指す。

 東京での運行エリアは、丸の内から銀座、六本木、新宿とか、距離に制限をかけるのではなく、海外旅行に向かう羽田空港までの利用など、「リアルターゲティングの効果が期待できるエリアを選ぶ」。東京23区の自治体から「『うちの区をエリアに入れてほしい』との売り込みもある」(同)という。

 運行の安全性や信頼性を確保するため、運転手はタクシーなどの経験者を集める。客待ちやノルマから解消された業務環境が期待され、スポンサーや自治体と同様、「採用についての問い合わせが相次いでいる」(同)。東京、大阪、アジアでの事業展開に向けては、新規株式上場を念頭に必要資金を調達していく方針。事業の継続には、スポンサーと広告単価の維持が課題になる。(大塚昌吾)