マツダ、年度内にSUV比率を5割へ 「フレキシブル生産」で世界需要取り込み

 
複数のマツダ車を一つの生産ラインで効率的に組み立てる防府工場=28日、山口県防府市

 マツダがスポーツ用多目的車(SUV)の生産台数を急拡大している。28日、SUV生産の一翼を担う山口県の防府工場(防府市)を報道陣に公開した。同一ライン内で複数の車種を生産する「フレキシブル生産」で世界的に拡大するSUV需要を取り込み、今年度に世界生産台数に占めるSUVの比率を過去最高の5割に引き上げるほか、この生産方式を電動車に応用することも目指す。

 コスト改善徹底

 「防府と広島の両工場は進化を続け、技術と技能を海外の工場に速やかに展開するマザー工場としての役割を果たす」

 同社の国内生産台数は、1931年10月に三輪トラック生産を開始して以来、86年7カ月の歳月で今月15日に累計5000万台に到達。その約2割を占める防府工場で28日開かれた記念式典で小飼雅道社長は「モノ造り革新」を続ける決意を強調した。

 狙いは、車高が高く力強い走りが売りのSUVの世界市場を攻略することだ。同社の世界生産台数に占めるSUVの比率は年々拡大。2017年度は約162万台を生産し、全体の47%をSUVで占めた。18年度を最終年度とする中期経営計画で掲げた目標「SUV比率50%」を射程内に捉えた。

 SUVの生産車種は、16年度に高効率エンジンを核とする環境技術群「スカイアクティブ」を全面採用した主力SUV「CX-5」はじめ5車種に拡大。各市場で販売するSUVの品ぞろえも拡充する方針で、今年後半に中国、オーストラリア、ニュージーランドに3列シートの新型「CX-8」を投入。21年には米アラバマ州で稼働を始めるトヨタ自動車との合弁工場で新型SUVを生産する計画だ。

 この快進撃を支えるのが、商品の企画段階から生産に至るまでコスト改善を図る「モノ造り革新」。特に生産面の革新を広島市の本社工場とともに先導する「マザー工場」の一つが「CX-3」「CX-5」など5車種を生産する防府工場で、41万6000台の年産能力を持つ。

 200万台生産の鍵

 同工場では、排気量や燃料が異なるエンジンを搭載するセダンやSUVなどが同一ラインによどみなく流れ、ロボットや作業員の手で54秒に1台という速いペースで組み立てられていく。

 例えば、全長も幅も異なる複数の車種であっても、車体をライン上の同じ場所に固定し搬送するなど、目に見えない工夫がちりばめられている。

 こうしたフレキシブル生産を実現することで、車種ごとの専用ラインに比べ設備投資が抑えられるほか、販売が順調な車種を空きのあるラインで追加生産するといったことが可能になり、稼働率を高めることもできるようになる。これらモノ造り革新の成果を、来年投入する電動車の生産に生かすための方策も探る方針だ。

 世界の自動車メーカーは、販売台数規模でトヨタや独フォルクスワーゲンなどの「1000万台クラブ」と、中堅の100万~200万台程度のメーカーからなる「200万台クラブ」に分かれる。マツダは、「個性で選ばれるブランド」を追求する延長線上で200万台の生産・販売態勢を目指す計画で、その牽引(けんいん)役となるSUVを手がけるマザー工場の役割は一段と重みを増しそうだ。(臼井慎太郎)