飲食業の接客研修、人材も定着 ビジネスフードファン・岩本留里子代表
外食産業はほとんどが個人経営や中小零細企業であり、競合が多く厳しい価格競争にさらされている。帝国データバンクの調べによると、2017年の外食関連業者の倒産件数は前年比約3割増の707件と2000年以降で最多だった。中小零細は品質に磨きをかけることで大手との差別化を図り、生き残りを模索している。こうした飲食業向けに教育・研修を行っているのがビジネスフードファン代表の岩本留里子さんだ。「接客レベルを向上させることで売り上げと人材の定着率増につなげる」と意欲的に取り組んでいる。
リピーター獲得
主に中小チェーン店やショッピングセンターなどを対象に、人材教育・接客研修やマニュアル作成などを手掛けている。接客の質を向上させることで、来店客に心地よい時間や空間を提供し、リピーターの獲得につなげる。同時に従業員向けには楽しく働ける職場づくりや仕組みづくりを進めて人材の定着率を上げ、人手不足を解消させる。
実際の飲食の現場で役に立つ接客方法を平均5日ほどの研修で一通り伝授している。
例えば、コートを着たまま着席している客の写真を示し、「どう対応したらいいのか」を受講者に問いかける。寒さのためと察した受講者からは「席を移動してもらう」「膝掛けを渡す」などといった対処法が次々と挙がる。こうした実際の店舗で起こりうるケースを示し、客の要望を先取りして解決策を考えることで、接客の引き出しを増やすことができる。
飲食業界を悩ませる人手不足解消と定着率アップについては、楽しんで仕事をしてもらうことで解決を図る。飲食業を志す人はもともと接客が好きな人が多い。そこで新人はできる限り、案内や商品提供など、来店客と接する機会の多い業務を任せて、楽しいと感じてもらえるようにしている。
研修を一切していなかった居酒屋チェーンでは、靴をきれいに磨くといった身だしなみを徹底指導することで、接客が改善されて来店客が増えたほか、仕事への意識が高まり定着率も改善した。
きっかけはミスド
ダスキンが運営するファストフード店ミスタードーナツでの勤務が、飲食業界と関わるきっかけとなった。整備された研修とマニュアルで接客の基本を身に付け、店長、サービスマネジャーを務めた。
レストランチェーンのピエトロでは海外店舗の立ち上げに携わったほか、新メニュー開発も担った。その後もいくつかの飲食関連会社で業態開発、人材育成、コンサルティングなど、15年間であらゆる飲食業運営のノウハウを身に付けて08年に起業した。以降、年間120回の教育・研修を行い、延べ2000人以上の人材を育成している。
今後は、企業内で人を育てる人材を輩出していく。「『人を育てる人』として従業員を教育する。そうすることでよりスピーディーできめ細かな人材養成につながり、顧客満足度をアップさせられるだろう」。接客レベル向上によって飲食業界の活性化に貢献する。
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【プロフィル】岩本留里子
いわもと・るりこ 日大短大部卒。ダスキン運営のミスタードーナツ、レストランチェーンのピエトロのほか、複数の飲食関連会社での業務経験を経て、2008年6月ビジネスフードファンを設立。47歳。長崎県出身。
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【組織概要】ビジネスフードファン
▽所在地=東京都千代田区神田錦町3-21 ちよだプラットフォームスクウェア1122
▽設立=2008年6月
▽事業内容=食・接客サービスコンサルティングなど
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