大人向け粉ミルク 手軽にバランス良く栄養補給 高齢者や女性中心に人気

 
大人向けの粉ミルクが並ぶ「龍生堂薬局東新宿店」の店頭=東京・新宿

 大人向けに成分を調整した粉ミルクが登場、健康が気になる高齢者や女性を中心に人気だ。栄養バランスが良く安心して飲めるとして食生活に取り入れられ、メーカーは新市場開拓へ力を入れる。

 東京都内の30代の女性会社員は、仕事中に小腹がすいたときや一息つきたいとき、コーヒーなどに大人向けの粉ミルクを混ぜて飲んでいる。昨年、出産を機に飲み始め、復職後も机に入れている。「簡単に栄養補給ができて便利。大事な会議の前に飲むと気持ちが前向きになる」と話す。

 雪印ビーンスタークは「大人のための」とうたった粉ミルク「プラチナミルク」を昨年9月、全国のドラッグストアなどで発売。60代以上が顧客の中心だが、食事が偏りがちな働き盛りの世代にも売れているという。

 従来の粉ミルクに対して「大人が飲んでも良いのか」との問い合わせが多く寄せられたことが開発のヒントになった。子供向けに比べ脂質を抑え、タンパク質やビタミン、ミネラルを強化、認知症予防に役立つとされる成分も配合した。

 「臭いや苦みが強い成分もあるが、長年、粉ミルクを作ってきた技術を生かして飲みやすい味に仕上げた」と担当者は説明。通常のミルク味のほかポタージュ風味と抹茶ミルク味(いずれも希望小売価格2592円)がある。

 東京・新宿の「龍生堂薬局東新宿店」では中高年の女性客が多く、まとめ買いをする人もいるという。

 森永乳業は2016年10月、通信販売限定で大人向け粉ミルク「ミルク生活」(300グラム入り2106円)を売り出した。感染症の予防に役立つとされる成分やビタミン、ミネラルを強化。売れ行きは良く、今年4月にタンパク質とカルシウムを増やした「ミルク生活プラス」(同2430円)を追加し、店頭にも販売を広げた。

 救心製薬(東京)は「大人の粉ミルク」(1袋9.5グラムで7袋1728円、30袋5940円)を発売、中高年の女性を中心に安定的に売れている。同社は「牛乳を飲むと腹がごろごろする人にも飲みやすいので、大人に不足しがちな栄養を手軽に取ってもらいたい」としている。