【ソニー株主総会・詳報(1)】吉田新社長、好業績にも「危機感」強調

 
ソニーの株主総会が終了し、退場する株主ら。過去最高の更新で増配が行われたことから、厳しい質問は目立たなかった=19日午前、東京都港区

 ソニーは19日、東京都内で株主総会を開いた。4月に就任した吉田憲一郎社長にとっては、経営トップとして迎える初の総会。平成30年3月期決算で20年ぶりに営業最高益を更新したことから株主の好意的な声が目立ったが、吉田社長は冒頭の経営方針説明で「危機感、謙虚さ、長期視点」を強調し、収益力のさらなる向上を図る考えを示した。

 午前10時、グランドプリンスホテル新高輪(港区)で開かれた総会に出席した株主は1651人。ソニーの“復活”に安堵したためか、減収減益の状態だった前年と比べ300人余り少ない人数となった。

 吉田社長は今後3年間の経営方針として、継続的な収益が見込めるエンターテインメント事業や、需要が拡大する自動運転向け半導体事業に注力する考えを説明した上で、「持続的に高い収益を上げる企業を目指す」と述べた。

 会社側の説明は30分余りで終わり、質疑応答へ。質問に立った株主15人の大半が好業績を賞賛した一方、赤字のスマートフォン事業について問い質す声も上がった。

 主なやり取りは次の通り。

 --日頃からソニー製品が好きで使っているが、ぜひほしいのは「NHKが見られない製品」だ。テレビを設置すると受信料を取られる。ワンセグでも同じ。将来、インターネットでも取るそうだ。民放もBSも見られるがNHKだけ見られないテレビ、NHKだけ撮れないブルーレイ、将来的にはNHKに接続できないプロバイダも検討してほしい

 吉田社長「貴重なご意見として参考にしたい」

 --吉田社長が掲げる「クリエイター重視」の具体的なイメージは

 吉田社長「『人に近付く』ことが今後3年間の大目標だ。音楽や映画、ゲーム、アニメなどのコンテンツもあり、また映画を撮る、写真を撮ると言ったハードも提供していく。コンテンツそのものでもあり、作るための技術や商品でもある、と理解してもらいたい」

 --「各社のCMを見るのが好きだ。グーグルやアップルなどは見せ方が上手だが、ソニーのたとえばスマートフォンのCMは、出演者の格好良さが前面に出て、製品自体の良さが伝わらない。見せ方がなっていない」

 吉田社長「担当者を含め、貴重な意見として今後の広告戦略にしっかり生かしたい」

 --PS(プレイステーション)プラットフォームでのチート(不正プレイ)対策について。アップデートでの対応はいたちごっこだ。オンラインゲームでチートがあると、コミュニティーが荒れ、ひいてはユーザー自体が減りかねない

 小寺剛執行役員「テクノロジーの進化に伴って対応している。行き過ぎた行為が見られたら適宜、適切な処理をしていく」

 --立派な業績に敬意を表するが、事業計画の中でCSR(企業の社会的責任)への言及が少なかった。たとえば、2年後の五輪のボランティア参加者に対して何か還元できないか

 神戸司郎執行役「持続的に事業価値を高め、社会発展に貢献するのが企業の存在意義だ。ソニーの事業活動は社会に与える影響が大きく、ステークホルダーやコミュニティーの皆さんの関心を踏まえながら意思決定を行っている」

 --私は視覚障害者だが、障害者に対する製品面や社会的取り組みに関する考えは。パナソニックや三菱電機は音声ガイド対応の製品が増えているが、ソニーは少ないように感じる。高齢者や障害者への対応は今後ますます重要だ

 今村昌志執行役「今後のビジネス拡大は、商品・サービスの中に『多様性』をどう受け入れるかが大きな課題と考えている。障害も一つの個性であり、少しでも長く使って貰える商品・サービスをいかに作るか。まだ十分ではないが、たとえば高齢者がテレビの音声を聞き取りやすい手元スピーカやー、スマホの読み上げ機能といったものを追加している。そうした製品開発の体制も整えつつある」

 --トランプ米大統領の登場で「条理のない世界」となりつつある。WTO(世界貿易機関)が機能しないことも懸念されるが、海外売上高比率が約7割に上る“世界のソニー”をどのように引っ張っていくのか

 吉田社長「ご指摘通り、ソニーの売上高は米欧がそれぞれ2割強、中国が約1割に上る。従業員の約6割が海外で働いている。国際情勢を常に注視しながら注意深く経営に当たっていくので、ご支援ご指導をお願いしたい」

■(2)5Gの展開、「課題はスマホの競争力」 を読む