仮想通貨の安全性に疑念 ブロックチェーン、サイバー攻撃で損害
仮想通貨を支える先端技術「ブロックチェーン」の信頼性が揺らぎかねない事態になっている。サイバー攻撃により取引記録がすり替えられ、海外の交換業者に損失が出る事件が起きたためだ。低コストで安全性が高い画期的技術として幅広い分野への活用が期待されているが、専門家はリスクを認識した上での運用が重要と指摘している。
ブロックチェーンは、仮想通貨の送金記録をまとめた取引の台帳をインターネット上の複数のコンピューターで共有、管理する技術だ。記録を一定数ごとにまとめたブロックをチェーンのようにつなげていく。台帳を共有しているコンピューターが相互に監視しているため、悪意ある攻撃者によるデータの改竄(かいざん)は事実上不可能とされていた。
だが5月半ば、日本発祥の仮想通貨「モナコイン」を扱う海外の交換業者が攻撃され、約1000万円の損失が出た。ブロックチェーンは仕組み上、一時的に2本のチェーンが併存することがあり、この場合より長いチェーンを正当とみなすのがルールだ。
攻撃者はこれを悪用した。水面下でブロックを大量につなぎ、一定の長さになった時点で既存のチェーンにつなげた。攻撃者にとって都合の良い取引記録を記したチェーンを正当なものと交換業者に思い込ませて、仮想通貨をだまし取ったとみられる。
仮想通貨をめぐっては1月、大手交換業者コインチェックでセキュリティーの不備を突かれ、約580億円相当の「NEM(ネム)」が流出したが、今回はブロックチェーン自体の仕様を突いた攻撃で、専門家の間では懸念が指摘されていた。仮想通貨に詳しいDMM.comの加崎長門氏は「防ぎにくく、根が深い」と指摘する。
国内では被害は確認されていないが、モナコインを扱うビットフライヤーなどは安全性を高める措置を取った。京大公共政策大学院の岩下直行教授は「改竄に強いといえるのは、適切に設計され、運営されてこそだ」と強調し交換業者が取引を慎重に承認することが求められるとしている。
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【用語解説】ブロックチェーン
さまざまな取引を特定のコンピューターが一元的に記録するのではなく、ネットワーク上の複数の参加者が分散して管理する技術。次々に発生する取引をひとまとめにしたブロックを鎖(チェーン)のようにつないで情報を更新していく。システム障害やデータ改竄(かいざん)が起こりにくいとされる。国際送金や不動産取引など幅広い分野で活用が期待されており、多くの企業が実証実験を進めている。
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