米アマゾンは「車に商品」、ベルギーでは「専用ボックス設置」…世界で広がる配達新サービス
米アマゾンがプライム会員向けに、会員の「自家用車」に直接商品を配達するサービスを開始した。自宅や会社の駐車場などに停めている車のトランクに、注文した商品を入れておいてくれるというサービスだ。後述するが、日本でも注目されそうなこのサービスについて紹介しよう。
車のトランクへ配達「アマゾン・キー・インカー・デリバリー」
アメリカの配送サービス会社は、受け取り主が不在の場合、一軒家であれば玄関先に、アパートなどの集合住宅なら専用スペースにそのまま放置していく場合がよくある。その結果、荷物が行方不明になることも少なくない。
アマゾンは荷物が届かないなどの紛失事故が発生すれば、通常は返金に応じてくれるが、購入者側にとってもアマゾンにとっても、これはあまり喜ばしくないケースである。
そこでより確実に顧客のもとへ商品を届けるために米アマゾンが始めたのが、車のトランクへの配達サービス「アマゾン・キー・インカー・デリバリー」である。
ただしこの新サービス、利用にはいくつか条件がある。まず、対応車種を所有していること。現時点で対応しているのは、2015年以降のシボレー、ビュイック、GMC、キャデラック、ボルボの各ブランドの自動車のみで、かつクラウドにネットワーク接続している車載情報サービス「オンスター」「ボルボ・オン・コール」に加入している必要がある。また今のところ、米国の都市部を中心とした一部の地域でしか利用できない。
対応車種を所有、サービスにも加入しているなら、あとは専用アプリ「アマゾン・キー」をスマートフォンにダウンロードして、設定を行うだけ。アマゾンのサイトかモバイルアプリで通常通り買い物をしたら、チェックアウトの際に車への配達を選択する。アマゾン・プライムの場合、対象商品であれば無料で翌日または翌々日(2営業日)に配達してくれるが、車への配達を希望する場合、2営業日配達であれば配達日の午前11時から午後3時、同日配達なら午後5時から9時の4時間の間に受け取ることになるという。なお車は自分が指定した住所の2ブロック以内に駐車しておく必要がある。
配達日当日になると、アマゾンから配達時間帯についての通知が届く。アマゾンの配達員からトランクの鍵を開ける許可を求める通知がアプリに届くので、承認すれば配達が完了する。配達が終わると再び配達員が完了の通知を送信してくれる。通常はトランクに配達されるが、注文した商品が大きすぎてトランクに入らない場合は、座席の方に入れてくれる。その際は配達終了後に配達員が車の鍵をロックする。
アマゾンによれば、アマゾン・プライムのアカウントと、前述の車載情報サービスプランのアカウントを連携することで、このサービスが可能になるという。
設置やメンテナンスも、パーセルホームの「パックボックス」
さて、荷物の紛失防止対策としては、世界にはほかにもユニークなサービスがある。ベルギーを拠点とするパーセルホーム(ParcelHome)は、「パックボックス」を有料で貸し出し、各国の郵便だけでなく、フェデックス、DHLといった大手の配送サービスによる配達を、留守中でも安全に受け取れるようにしている。
パックボックスはスマートフォンのアプリと連携しており、荷物が配達されると、アプリに通知が送信される。パックボックスが便利なのは、受け取るだけでなく、送ることもできる点だ。送りたい荷物や返品したい商品などを入れておけば、配達してもらえる。配達されたかどうかの通知もアプリで受け取ることができる。設置はパーセルホームが無料で行い、メンテナンスもしてくれる。太陽電池で動作するため、配線や電池交換は不要だ。
パーセルボックスは現在ベルギー、フランス、ノルウェーでサービスを提供しており、今後はイギリスを含むその他の欧州諸国への拡大を検討しているという。
日本での問題解決策になるかも!?
日本ではアマゾンの負担が大きすぎるとして、ヤマト運輸が当日配送からの撤退に踏み切るとともに値上げを敢行したが、この負担の大きさの最大の理由は、顧客不在による再配送の多さだ。車や専用ボックスへの配達といった、顧客が留守でも安全かつ確実に配達するための新たな手段が、日本でも必要になってくるかも知れない。
(岡真由美/5時から作家塾(R))
《5時から作家塾(R)》 1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。
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