残業禁止、テレワーク…大手で進む働き方 中小企業にあおりも

 
※画像はイメージです(Getty Images)

 働き方改革はすでに民間企業で広がり始めている。残業時間の短縮や職場に出勤しなくていい「テレワーク」など、勤務体系、内容はさまざまだ。柔軟に働ける職場は、就職先として選ばれるための重要なポイントにもなっており、各社は今後も取り組みを加速する。

 残業を2020年までにゼロにする方針を打ち出しているのはモーター大手の日本電産だ。創業者の永守重信会長が「元日の午前中を除き365日働く」と公言してきた“モーレツ経営者”だけに、16年秋の方針発表時は驚きをもって迎えられた。

 伊藤忠商事は午後8時以降の残業を原則禁止し、深夜時間と同額の割増賃金を早朝勤務に支給して、朝型勤務シフトを導入した。無料の朝食メニューを拡大するなどの定着策が奏功し、「夜型」だった商社マンの生活が一変したという。

 1日の所定労働時間を短くする動きも出ており、コーヒー大手の味の素AGFは19年度中に、現在の「7時間40分」を「7時間」に短縮する。同社は定年後の再雇用社員を週休3日とする一方、年収を3割増やす取り組みも始める。

 テレワーク導入では、住友商事が育児、介護中の人以外も含む本社社員の約4000人を対象に自宅でもウェブ会議に加われる環境を整備する。三井物産も6月下旬から3カ月かけ、本格導入に向けた検証を行う方針だ。

 共働きや介護中の社員が働き続けるための環境整備も進む。東京地下鉄と私鉄10社は配偶者の転勤や親の介護などで転居せざるをえない社員を、互いに受け入れる取り組みを開始。AIG損害保険は全社員対象に転居を伴う異動を廃止する方向で、国内を13エリアに分け、異動を原則エリア内に限定する。

 AI(人工知能)ベンチャーのコグニティ(東京都品川区)は従業員約150人のうちフルタイムは7人で、残りはパートの在宅勤務。夫の転勤に同行し、福岡の自宅で仕事を続けている人もいるという。

 働き方改革は生産性と収益力を高め、企業イメージ向上に貢献する。

 ただ、どこまで裾野が広がるか課題も残る。特に、大手の下請けとなることが多い中小企業は、大手の都合に振り回されやすい。部品メーカー関係者は「取引先の大手の担当者が定時終了後、こっそりわれわれを訪れ、夜遅くまで打ち合わせを行うのが『慣例』。大手の要請を断れるはずもなく中小の働き方改革は難しい」と話している。(山口暢彦)

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 ■企業の「働き方改革」例

 ・東京地下鉄と私鉄10社

  配偶者の転勤や親の介護などで転居せざるをえない社員を互いに受け入れ

 ・日本電産

  2020年までに残業ゼロ

 ・伊藤忠商事

  午後8時以降の残業を原則禁止

 ・住友商事

  本社社員4000人にテレワーク制度を導入予定

 ・三井物産

  6月下旬から3カ月、テレワーク導入に向け検証

 ・三井住友海上火災保険

  全社員が帰宅時間を“宣言”。育休中に自宅で臨時就業できる制度を導入

 ・クレディセゾン

  非正規従業員2200人を昨年9月から正社員化

 ・AIG損害保険

  転居を伴う異動を廃止

 ・味の素AGF

  19年度中に1日の所定労働時間を7時間40分から7時間へ短縮。今年7月から再雇用社員の年収を3割増やす一方、週休3日とする

 ・ジャパネットホールディングス

  16連休取得が可能なスーパーリフレッシュ休暇を導入。育児時短勤務対象を中学入学まで拡充