急勾配ラクラク、本格的な走行性能…スポーツサイクルに電動化の波きたる
スポーツサイクルに電動化の波が押し寄せている。これまでの電動自転車は子供を乗せたり、高齢者が買い物などに利用したりする「ママチャリ」のイメージが強かったが、メーカー各社が高い走行性能と大容量バッテリーを備えた電動アシスト機能付きのスポーツサイクル(eバイク)を相次いで発売、普及に向けてペダルをこぎ出した。主婦や中高年に加え、通勤・通学での電動自転車の利用も増える中、スポーツタイプの投入により、利用者の裾野拡大を狙う。(橋本亮)
走行最長115キロ
大阪市中央区のスポーツサイクルショップ「ベックオン」は5月から、ミヤタサイクル(川崎市)の電動クロスバイク「CRUISE(クルーズ)」(税抜き希望小売価格26万9千円)などの取り扱いを始めた。
金森孝憲店長は「国内ではeバイクの知名度がまだまだ低いこともあり、1年間で2、3台程度の販売を見込んでいたが、5月の1カ月間だけで約10台も売れた」と驚きを隠さない。
クルーズは自転車部品の世界最大手のシマノが製造した電動アシスト部品を国内メーカーで初めて搭載した。シマノの電動アシスト部品は大容量のリチウムイオン電池やモーター、ペダルにかかる力を正確に感知するセンサーなどで構成。欧州で販売しているモデルを日本向けに改良した。
1回の充電で最長約115キロの長距離走行が可能な大容量バッテリーを採用。「通常のクロスバイクから乗り換えても違和感のない乗り心地で、モーターのアシストで追い風に吹かれているように、坂道や山道でも平地と同じペースでこぐことができ、長時間走行でも疲れにくい」(ミヤタサイクル)のが特徴という。
新商品投入続く
eバイクは欧米を中心に人気が高まっている。国内では昨年9月に、パナソニック子会社で自転車の製造販売を手掛ける「パナソニックサイクルテック」(大阪府柏原市)が国内で初めて街乗りから本格的なオフロードまで楽しめる電動マウンテンバイク「XM1」を発売。30万円を超える価格にもかかわらず、年間200台とした販売目標をわずか1カ月で達成した。
7月には新型モーターユニットを導入し、急勾配でもより軽い負荷で済むようにした電動マウンテンバイクの新製品「XM2」(同38万円)と、泥よけや荷台を備え、通勤や通学、街乗りに最適な電動クロスバイクの「XU1」(同22万5千円)の販売を始める。
ヤマハ発動機も7月に、ペダルをこぐと素早く反応してアシストが効く電動マウンテンバイク「YPJ-XC」(同35万円)を発売するなど、メーカー各社による新商品の投入が続く。
観光事業にも
少子化に伴う人口減で国内の自転車販売台数は縮小傾向にある。一方、子育て中の女性が子供の送迎などに使う「子乗せ需要」の拡大や、足腰の弱い高齢者の利用を背景に、電動自転車の販売台数は伸びている。
さらに、最近は電車やバスの路線が少ない地方都市や坂道の多い郊外の住宅地などを中心に、通勤・通学で利用するケースも増え、平成29年の国内販売台数は60万台を超え、自転車販売全体の4割近くを占めた。
「eバイクは単なる移動のための道具ではなく、自転車に乗る楽しむを味わえる」(ベックオンの金森店長)のも売り。体力と脚力に自信のない高齢者や女性も気軽にサイクリングを楽しめ、趣味の幅が広がる。
パナソニックサイクルテックは、市街地で使われることが多かった電動自転車の用途をスポーツや観光にも広げようと、eバイクを使ったサイクリングツアーやレンタルなどのサービス事業への参入を計画。メーカー各社はeバイクを起爆剤とした市場活性化に大きな期待を寄せている。
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