テレビショッピングも4Kで 12月からQVCジャパン 「返品減る」と期待

 
4Kカメラで撮影した映像(左)と、現行カメラで撮影した映像(右)=千葉市美浜区、QVCジャパン(三宅令撮影)

 テレビ通販大手のQVCジャパン(千葉市美浜区)は今年12月から、毎日24時間、高精細な4K放送を始めると発表した。内田康幸社長は「4Kにしたから物が売れるとは考えていないが、より実物に近い見え方になり、返品は減るだろう」と期待する。日本での放送でセットやカメラワークなど撮影方法を研究し、世界各国のQVCグループにも4K放送を導入したい考えだ。(三宅令)

 QVCは1986年に米国で創業したテレビ通販会社。欧米を中心に全世界で約3億6千万以上の世帯に向けて放送している。日本では平成13年からQVCと三井物産の合弁事業でQVCジャパンとして運営。全国のケーブルテレビ局などを通じて毎日24時間放送をしている。食品から宝石まで年間約2万4千品を紹介し、売り上げは962億円(26年度実績)となっている。

 年末に予定している4K放送の開始について、同社の広報担当者は「4K放送は中長期的に見て、業界のスタンダードになる。カメラやスタジオなど機材設備は安くないが、これは先行投資のようなもの」と意気込む。同社は4K放送に向けて、既に編集室や収録スタジオを設置済みで、9月までに専用のライブスタジオなどを完成させる予定。インターネット配信の動画もいずれ4K化する方針だ。

 4Kは画素数がフルハイビジョンの4倍。色域の再現率も74%だった従来のテレビから99%に広がり、カメラ映像を画面で比較すると、より現実に近い表現が可能となった。例えばバッグの素材で、微妙な質感の差異がある牛革と羊革、リザード革とクロコダイル革の違いなども、従来より映像で伝えやすくなる。

 内田社長は「より正確な商品ビジュアルをお届けすることができる」と胸を張る。「実物より魅力的に見えるわけではない」ので直接、購買率の向上につながりはしないが、「より実物に近い見え方になり、『商品がイメージと違った』という返品は減るだろう」とし、「リピート率が上がってくるチャンスも増える」と期待する。

 高精細な4Kならではの見せ方も研究中だといい、「放送開始までに(画像の)焦点の合わせ方など、よく見えるようにするための訓練を進めていく」と話した。

 同社は日本で4K放送のノウハウを積み、今後、欧米での4K放送導入などに生かしたい考えだ。