救え“ランチ難民” 飲料自販機で宅配弁当販売 サントリー食品とぐるなびが新サービス

 
自販機で購入した弁当が職場まで配達されるサービスの説明会=5日、東京都中央区

 サントリー食品インターナショナルとぐるなびは5日、飲料の自動販売機で弁当を販売し、職場まで配達する新サービス「宅弁」を始めたと発表した。オフィス街の飲食店では昼食時間帯に利用が集中し、混雑のため食事を取り損ねる“ランチ難民”も。自販機で買えばオフィスで待つだけという利便性で新たな顧客を獲得し、飲料のついで買いも見込む。

 利用者は午前8~10時にオフィス内の自販機で、飲料を買うのと同じ操作で弁当を購入。購入情報が無線を通じてぐるなびに集約され、加盟店が自販機脇の専用台に弁当を届ける仕組みだ。購入数は上限20個となっている。価格は東京都中央区などのエリアで1つ700円としたが地域によって値段を柔軟に設定する。

 利用者には「ドリンク10円引きコイン」を提供し、飲料のついで買いを促す。加盟店側は昼食時間帯に取り込めない顧客にアプローチできる利点がある。サントリーとぐるなびは一定の手数料を得る。

 サントリーグループで自販機事業を手掛けるサントリービバレッジソリューション(東京都中央区)の土田雅人社長は「首都圏中心に2020年までに1000台の自販機でこのサービスを利用できるようにしていく」と語った。

 新サービス誕生の背景にあるのはランチ難民の存在だ。高層ビルが林立する昼食時間帯のオフィス街は会社員らであふれ、「店の前に行列ができ昼食を取るまでに20~30分かかることもあり、昼食にありつけるかは切実」(業界関係者)という。ぐるなびが2000人超を対象に実施した調査では36%の人が「月1回は昼食を取れずランチ難民化している」と答えた。

 こうした事情から、ファミリーマートは「自販機コンビニ」の設置をオフィスビル中心に進めている。おにぎりやパン、サンドイッチなど店舗同様の商品をそろえランチ難民の需要に応える。これまでに約1800カ所に約2300台が設置済みで来年2月までに3000台に増やす。24時間稼働のため深夜の利用も目立つという。

 弁当宅配サービスを手掛けるスターフェスティバル(東京)は「シャショクル」と呼ぶ社食代わりの宅配弁当を行う。会社など約150の拠点に500~600円の弁当を毎日配達。「確保した昼休み時間を自己啓発などにも充てられる」などの声が寄せられているという。(柳原一哉)