通販ケフィアに不可解な動き…高金利で調達、資産売却 相談急増で被害弁護団結成

 

 支払い遅延などトラブルが表面化した通販のケフィア事業振興会(東京都千代田区)が会員に太陽光発電所の太陽光パネルオーナーになるよう勧誘していた。高金利の資金調達や資産売却の動きもあるほか、ケフィアと関連のかぶちゃん農園(長野県飯田市)に関する国民生活センターへの相談も急増している。(東京商工リサーチ特別レポート)

 公称220万人の会員を抱え、年商1000億円を誇るケフィア事業振興会(以下ケフィア)は、かぶちゃん農園などグループから農水産加工品を仕入れ、会員制通販サイト「ケフィアカルチャー」で販売。また、会員が1口5万円で売買契約を結ぶ「オーナー制度」やケフィアと金銭消費貸借契約を結ぶ「サポーター募集」なども行っている。

◆ジャパンライフを凌駕する相談の急増ぶり

 maneoが設定した不動産担保は今年3月末にすべて抹消されている。だが、昨年9月、ケフィアのグループ企業にmaneoが設定した動産譲渡登記はまだ残るなど、太陽光関連の不動産や賃借権に動きが出ている。

 ケフィアは、これまでに昨年11月ごろから会員への一部支払いが遅れていることを明らかにしている。一部会員からの残高返済の要請に応じておらず、新たな契約への「振替え」も提案しているケースもみられる。

 高齢者を中心に会員は数万人にのぼるとみられるが、一部会員の間では不満が高まり、提訴や仮差押えなどのトラブルに発展している。

 東京商工リサーチ(TSR)は、国民生活センターに「ケフィア事業振興会」、「かぶちゃん農園」に関する情報公開を請求した。開示された資料によると2008年5月から2018年6月までの10年間の相談件数は1245件だった。

 ただ、今年5月だけで143件に達している。1-6月累計は計537件と相談件数が急増しているが、これは社会問題化し破産したジャパンライフの相談件数(2015年4月~2017年12月まで515件)をわずか半年間で上回る異常ぶりだ。

◆ベールに包まれた太陽光発電所を探し当てた

 ケフィアは太陽光発電所「かぶちゃんの太陽光パネルの森」を順次開設し、長野県内に20カ所以上の発電所を構えている。

 TSRが独自入手した複数の「かぶちゃん農園の太陽光パネルオーナー募集」のパンフレットや契約書によると、会員が太陽光パネルを1枚あたり5万円で購入する。会員がパネル所有権を10年後まで持つ。契約内容によると、還元金額は、年間7200円の売電価格と2500円の償却買戻価格の合計9700円を10年間受け取ることになっている。

 ところが、パネルオーナー募集のパンフレットや契約書には発電所の住所が記載されていない。ホームページでも公表していない。TSRが発電所の所在地をケフィアに問い合わせたが、取材を拒否された。

 TSRは独自取材で所在地が判明したケフィアの太陽光発電所を数カ所、実際に確認した。

 カーナビも役立たない辺鄙な山奥や町外れだが、いずれも「太陽光パネルの森」と「再生可能エネルギー発電事業の認定発電設備」の看板が掲げられている。外側から見る限り、太陽光パネルの状態は良好だった。

◆maneoから金利15%など多額の資金を調達

 ケフィアの太陽光発電所の土地は、ケフィアグループが所有するものと、地主から土地を借りて賃借権を持つ2パターンがある。

 ケフィアグループが所有する不動産登記を6月に閲覧した。その土地にはソーシャルレンディング大手のmaneoが2017年7月以降、グループで太陽光発電所の運営などを手掛ける「かぶちゃんメガソーラー」を債務者とした計20億円を超える担保を設定。一部は年利15%の高利の抵当権も設定されていた。

 maneoグループは、一般投資家から資金を集め、企業に貸し付けるソーシャルレンディング会社。maneoはケフィアへの貸付条件について、「個別企業の条件などは非公開」と詳細を明らかにしていない。

 今年3月末、maneoが不動産に設定した担保はすべて抹消された。だが、かぶちゃんメガソーラーに設定された動産譲渡登記は、現在も抹消されていない。

◆発電所の不動産や賃借権を売却、譲渡

 ケフィアは、maneoの担保が抹消されると、太陽光発電所の不動産や賃借権を他社に売却、譲渡している。

 ケフィアが一部土地の所有権を売却したのは担保抹消日と同日の3月30日。売却先は、かぶちゃんフーコ合同会社(東京都千代田区)だ。

 かぶちゃんフーコは、今年3月15日に設立されたばかり。ジャスダック上場のフーマイスターエレクトロニクス(以下フー社)が、TSRの取材に取材に「関係会社」と認めている。

 フー社のプレスリリースによれば、フー社が100%子会社の匿名組合を通じ、6月7日までに23億1868万円を出資。太陽光パネルなど含めた太陽光発電所を10カ所取得し、さらに追加で発電所の取得を進めている。

 これとは別にケフィアは複数の賃借権を今年5月以降、別会社へ譲渡し、太陽光発電事業の資産売却を進めている。だが、太陽光パネルオーナーは「何も聞いていない」という。

 太陽光パネルは契約上、会員に所有権がある。だが、ケフィアは発電所の不動産や賃借権を売却、譲渡した。契約上の問題やパネルオーナーへの売電配当、償却買戻などの資金手当てをどうクリアするのか。会員が納得できる説明責任を問われている。

◆被害弁護団も結成

 一方、ケフィアグループが多数の会員と金銭トラブルになっている問題で7月10日、消費者被害に取り組む弁護士有志が「ケフィアグループ被害対策弁護団」を組成したことがわかった。

 被害弁護団の団長には、リンク総合法律事務所の紀藤正樹弁護士が就任した。同弁護団では着手金を抑え、ケフィアグループに対する被害回復の請求や訴訟などを会員から受任し、被害救済を目指す意向だ。

 同弁護団の事務局次長の中森麻由子弁護士(リンク総合法律事務所)は、「何らのリスクの説明もないまま不特定多数から金銭の出資を募ること自体、金融商品取引法等に違反する疑いが強い」と指摘する。

 さらに、中森弁護士は「支払いが滞った後も次々と出資を募るパンフレットを送付し、返済期限を延期する書面に署名させようとすることなどについては、問題が多いと言わざるを得ない。少しでも出資した方々の被害回復につながればいい」とコメントした。

 被害弁護団は、ケフィアへ必要であれば、破産申立や刑事告発も検討するという。随時、情報は同弁護団のホームページで公表していく。ケフィア問題は、新たな局面を迎えた。ケフィアの今後の対応が注目される。

■急成長の通販サイトが暗転 ケフィアが支払い遅延 複雑な契約、提訴…トラブル続発 を読む

 《東京商工リサーチ特別レポート》大手信用調査会社の東京商工リサーチが、「いますぐ役立つ最新ビジネス情報」として、注目の業界や企業をテーマに取材し独自の視点に立った分析をまとめた特別レポート。随時掲載します。

▼東京商工リサーチ特別レポートのアーカイブはこちら