【現場の風】太陽生命保険 生保初の65歳定年制導入「社員から元気に」

 

 □太陽生命保険人事課長・一番ケ瀬智彦さん(44)

 --2017年に業界で初めて65歳定年・最長70歳までの継続雇用制度を導入した背景は

 「高齢化が進む中、お客さま、社会を元気にするにはまず、社員から元気になることが必要と考えた」

 --雇用を延長すると人件費がかさむのでは

 「『人件費は投資であり、コストではない』と考えている。ベテランが増え退職者が減る分は採用数で調整する。業務効率化で生まれた余力もあり、人件費増はコントロールできる範囲にある」

 --制度導入のメリットは

 「引退が近づくと働き方が緩む人もいたが導入後、シニア社員の勤労意欲が向上した。役職定年を延ばしたこともあり、60代で昇進した社員も複数いる」

 --波及効果はあるか

 「昨年行った入社3年目までの若手向けアンケートで88.8%が定年延長を好意的に捉えていることがわかった。若手、中堅社員は長く安心して働けることになり、ロイヤルティー(忠誠心)が上がった。生涯賃金も上昇し、さらには優秀な新人の採用にもつながる」

 --導入上で留意した点は

 「シニアの活躍できる場を明確にすること。中堅が20、30年後も働くことを念頭に戦略的な人員配置が必要。畑が違う部署ではベテランが実力を発揮できない」

 --活躍の場とは

 「太陽生命は高齢者向け保険に注力しており、業務知識だけでなく、親の介護などさまざまな経験を持つシニア社員の方がお客さまの相談に答えられる。法人営業でも培った人脈が活用できる」

 --他の生保でも導入の動きがある

 「日本が100歳時代を迎えようとしている中、定年延長は社会の要請。拡大していくだろう」

【プロフィル】一番ケ瀬智彦

 いちばがせ・ともひこ 立教大学法学部卒。1997年入社。運用企画部や津支社長を経て2017年に人事部に異動。定年延長制導入のプロジェクトリーダー。兵庫県出身。