検査や餌、介護…起業続々、「ペット健康市場」を狙え

 
犬用ケーキを提供するカフェ(ホットドッグ提供)

 犬や猫などペットの健康に対する意識が高まり、病気の遺伝子検査や栄養に配慮した餌の販売など関連ビジネスが盛況だ。ペットを家族のように扱い、支出をいとわない飼い主の増加で市場拡大が見込まれるためで、ここ数年起業が相次いでいる。ペットの高齢化を受け「介護」などのサービスも登場している。

 愛媛大発のベンチャー「ベクタ」(愛媛県新居浜市)は犬に多い緑内障など遺伝性疾患のリスクを調べる検査を実施している。パナソニックの技術者だった俵文利社長(56)が平成26年に起業。1回の検査で複数の病気のリスクを判断でき、俵氏は「リスクが分かれば予防や早期治療につながる」と話す。

 食への意識も高まりペットフードも多様化している。27年7月創業の「ノーレム」(大阪市)は肉じゃがやハンバーグなど人間の食事のような冷凍ペットフードを販売する。原材料も実際の料理とほぼ同じ。西本俊勲社長(30)は「ペットも同じ食卓を囲む家族。バランス良い食事を一緒に食べたい飼い主が多い」と話す。「ホットドッグ」(東京)は犬用ケーキを手掛け、愛犬と楽しめるカフェも営業する。

 犬猫の平均寿命の延びに合わせて「老犬ホーム」などペットの介護施設やサービスも増えている。「ケアペッツ」(東京)は、人間の高齢者向け介護を手掛けていた藤田英明社長(42)が28年にペット向けに展開。散歩などの世話や訪問介護サービスに加え、24時間救急搬送に対応する「救急車」も運行する。

 矢野経済研究所によるとペット関連市場は年々増加しており、28年度は1兆4983億円。シャープが先月、猫向けのトイレ型モニターを発売するなど参入企業はベンチャーに限らず、大手の異業種参入も含めて今後も進出が続きそうだ。