大塚家具、再建策示せず不安増大 久美子社長の責任重く
大塚家具の大塚久美子社長が、2015年3月の株主総会で、父親で創業者の大塚勝久前会長と激しい委任状争奪戦を繰り広げて、経営権を握ってから約3年半。14日発表の18年6月中間決算は、通期予想で3年連続で最終赤字となる修正を行ったほか、短信に「継続企業の前提に関する注記」を記載するなど、同社の経営不振と財務体質の不安を示す内容となった。
久美子氏は、富裕層を中心とした会員制と専門知識を持った店員の接客で高級家具を販売する勝久氏のビジネスモデルを否定。「中価格帯も扱おうとしていたが、競合のニトリやイケアに対抗できるような施策がなかった。同時に富裕層の顧客も失い続けた」(同社関係者)。
短期間で大幅減収
久美子氏が経営を主導した15年12月期の売上高は「おわびセール」などの効果で前期比5%の増収となった。しかし、16年12月期は20%減の463億円と、18年ぶりに500億円を割り込んだ。
17年12月期も11%減、18年12月期の予想は376億円へと下方修正した。3年間で約200億円の減少だが、何ら手を打てていないのが実情だ。
無借金経営ながら、15年12月末に109億円あった現金および預金は、今年6月末で22億円まで減少するなど、財務体質の不安も増大している。
さらに、ここにきて身売り報道も出る中、経営再建策を久美子氏は取りまとめることができなかった。
経営責任大きく
企業分析が専門の日本経済大の西村尚純教授は「赤字転落を発表する決算時に再建策を公表できないことは、支援スキームが極めて難しく、今後もまとまりにくいことを示す。経営リスクはますます大きくなる」と語る。
その上で「短期間での大幅減収は経営戦略の失敗を示すものであり、久美子社長の経営責任は極めて大きい」と、厳しい評価を下している。(平尾孝、柳原一哉)
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