ファミリーデーで会社のファンづくり ベンチャーでも職場見学広まる

 
ファミリーデーに参加した子供に挨拶するプレシャスパートナーズの高崎誠司社長=東京都新宿区(同社提供)

 ベンチャー企業のなかで、職場を家族に見学してもらう「ファミリーデー」を実施する動きが広がっている。自社の製品やサービスを従業員の家族にも知ってもらうといった会社のファンづくり、普段話す機会のない社員同士の部署を超えた交流などが主目的の大手企業とは違った狙いが中小・ベンチャー企業のファミリーデーにある。

 不動産ベンチャーのFan’s(ファンズ、東京都渋谷区)は7月21日、会社設立9年目で初のファミリーデーを実施。従業員とその家族約40人が参加した。ファミリーデーを企画した従業員の案内による職場見学。普段、目にすることのない「大人の世界」に子供たちは興味津々な様子だった。

 その後、別室に用意された懇親会場では国師康平社長の出迎えを受け、ビールやソフトドリンク、たこ焼きなどが振る舞われた。ファミリーデーは今春入社の新入社員13人が企画。朝7時から準備に取りかかり、子供たちが飽きないようにと、スーパーボールすくいや塗り絵といったアトラクションコーナーも用意した。田中雄一郎・企画本部担当取締役は「6年前に入社した頃は独身者ばかりだったのに、従業員にも家族ができて、何か対応すべきだと考えた」とファミリーデーを企画した背景を説明する。

 動画製作支援のvivito(ビビトー、同渋谷区)も初のファミリーデーを15日に開き、動画作品の上映を交えつつ、小さな子供でも楽しめるよう、ヨーヨーつりなども企画した。また、求人広告代理店のプレシャスパートナーズ(東京都新宿区)も6、7の両日、本社で従業員とその家族の約30人が参加した。従業員の両親が直属の上司に「お世話になっております」とお礼を述べる場面も見られた。

 成長著しいベンチャー企業は、平日は残業が多いうえ、休みの会社が多い土曜日、日曜日、祝日に出勤するケースも少なくない。そうした日は、ほとんどの保育園や幼稚園が休みのため、やむを得ず会社に子供を連れてくるケースもある。

 ファンズの国師社長は「家族にも働く現場を見ていただくことで、私たちの仕事への理解を深めてもらうきっかけにしたい」と、ファミリーデー開催の意義を語る。田中取締役も「家族あっての父親でもあると同時に、父親の昼間の世界を知ってもらうことで、仕事に対する家族の理解が深まれば」と話す。

 プレシャスパートナーズの高崎誠司社長も「従業員にはかけがえのない両親や家族が存在していることを管理職が認識でき、働き方改革へのモチベーション(動機付け)を高められる」と強調した。