災害時の安否伝えるウェブ掲示板普及へ ユウトハンズが自治体に拡販、アプリは無料配布

 
誰でも無料で使うことができる災害時用のウェブ掲示板『心子いるよ!』のトップ画面

 ソフトウエア開発を手掛けるユウトハンズは、災害時の安否確認に用いるウェブ掲示板の普及に乗り出す。各自のスマートフォンから自身の名前や画像などの安否情報を送信すると、衛星利用測位システム(GPS)機能と連動して自動的に地図上に位置が表示される。各自の無事だけでなく、被災現場の状況を知らせることもできる。今後自治体などへ導入を働きかけることで、幅広く誰でも使える社会インフラに育成する考え。初年度は3000万円の売り上げを見込む。

 ウェブ掲示板「心子(ここ)いるよ!」は、2016年度の東京都中小企業振興公社の先進的防災技術実用化支援事業の対象となり、助成金を受けて制作された。販売先は自治体やNPO法人を想定し、アプリは無料配布する。多くの人が使えるよう、iPhone(アイフォーン)とアンドロイドの両方に対応し、直感的に操作できるようにしている。自分だけでなく、周囲のけがをして動けない人の画像のほか、けがの状況などを入力し、表示することもできる。倒壊した建物やビル、橋梁(きょうりょう)などの情報を送信すれば、消防などが現場の正確な情報を大量に入手できるため、救助対策を立てやすくなるという。

 従来、災害時の安否確認ツールは個人や法人が個別に契約する必要があったが、自治体などが提供先になることで誰でも無料で自由に使うことができる。同社では、防災時以外の平時でも、住民から「街路樹が倒れている」「水道管が壊れた」という情報提供を受けて、速やかな行政サービスにつなげられるとみている。

 熊本県出身の城野徹社長が16年に発生した熊本地震で被災。車中泊で避難生活をする人の安否確認が困難だったことから、誰でも行政に連絡できる手段として企画、開発した。城野社長は「高齢者や外国人にも配慮し、さらに使いやすいアプリを開発する」と話している。

【会社概要】ユウトハンズ

 ▽本社=東京都渋谷区宇田川町2-1 渋谷ホームズ1307

 ▽設立=2000年10月

 ▽資本金=2000万円

 ▽従業員=12人

 ▽売上高=5500万円 (2017年12月期)

 ▽事業内容=ソフトウエア開発、紙文書の電子化、ウェブ制作、印刷、デザイン