【現場の風】丸紅 車の新規事業 米国発技術で開拓
□丸紅常務執行役員 輸送機グループCEO・氏家俊明さん(57)
--自動車は変革の時代にある
「自動車部隊に新規事業を開拓するチームを昨年作った。スマートシティーに発展する可能性もあり、部門間で機動的に連携できるよう4月から本部直轄とし、増員もした。当面は、買収した米自動車ローンのウエストレーク・サービスなどを通じ先端技術の動きを取り込む」
--具体的には
「ウエストレークは、人工知能(AI)を使った与信管理によるスピード決済やカーシェアリング参入で成長している。出資先の冷凍・冷蔵のトレーラーリース会社もセンサーを通じた故障予知や流通向け温度管理技術で先行している。米国発技術を世界展開したい」
--旅客需要拡大を背景に、航空機関連も好調だ
「米大手航空機リースのエアキャッスルをはじめ、エンジンや部品リース、物流事業も手掛ける。航空機は需要が伸びており、機体の退役情報をいち早くキャッチし、部品を再利用する目利き力を高めたい。国内のビジネスジェットの市場拡大の商機も取り込む」
--「ゴム部」を輸送機部門へ移管したがシナジーは
「ベルトコンベヤーなどのゴム製品は、南米の資源国の建設機械のサービス事業と親和性がある。建設機械は販売よりも、修理や部品供給に商売がある。メーカーのために汗をかくのが商社機能だけに、顧客の要望に応え、品ぞろえを拡大できる」
--分散化電源が見直されている
「太陽光発電所運営に加え、3月に太陽光パネルの安全や耐久性の認証試験事業の米RETC社に参画した。来年、車載用や定置用蓄電池の認証試験も開始する。太陽光や蓄電池の最新技術にアンテナを張り、電気自動車(EV)も使って離島で分散型電源に活用する方法を検討したい。電力部隊とも切磋琢磨(せっさたくま)して連携していく」
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【プロフィル】氏家俊明
うじいえ・としあき 慶大経卒、1984年丸紅入社。建設機械部長や経営企画部長、執行役員輸送機部門長代行、常務執行役員建機・産機本部長を経て、4月から現職。東京都出身。
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