家電量販店が「脱家電」 酒や自転車、リフォームも 市場縮小で改革
家電量販店が「脱家電」を加速させている。酒や玩具に家具、自転車、リフォームといった電化製品以外の取り扱いを拡大。インターネット通販の台頭などで業界の市場規模は縮小しており、従来の薄利多売だけでは成長が見込めないためだ。
立地で主役交代
「カタログではなく、実物を見て手に触れられるのが良い」。東京都調布市のビックカメラ京王調布店で、電動マウンテンバイクを探しに来た地元客は笑顔で話した。2017年9月にオープンしたこの店の1階には約200台の自転車がずらりと並ぶ。
家電量販店の「顔」である1階では今ならスマートフォン、数年前までは薄型テレビといった売れ筋品を陳列するのが定番。京王調布店は自転車のほかに約2500点の酒を置き、1階に家電が全くない店舗だ。サイクリング道が多い地域の特性と、生活関連品の買い物客が多い郊外の立地を考慮した。
ビックカメラの安部徹取締役専務執行役員は「当社の店にスマホがあるのは当たり前で、2階に置いても来てもらえる」と語る。東京・秋葉原の店では外国人観光客による「日本のお土産」需要を取り込もうと、1階の主役は医薬品や菓子だ。
専門店化も進める。17年11月には愛知県日進市に玩具、18年8月には東京・台場に酒の専門店をそれぞれ開業。低価格を前提に品ぞろえと店員の商品知識を強化した。安部氏は「われわれは家電量販店ではなく、専門店の集合体だ」と言う。
カフェも運営
住宅分野に力を入れるのはヤマダ電機だ。家電を核に家具やリフォーム、保険などを一体的に手掛ける「家電住まいる館」を全国約40店で展開。テレビとソファ、テーブルと冷蔵庫などをセットで配置し、内装の具体的なイメージを提案する。
住まいる館では、家電量販店では珍しいカフェも自前で運営。男性客中心の購買層から拡大を目指し、18年度中に100店に増やす計画だ。ヤマダ電機の担当者は「女性や家族連れなど、来店客を多様化させたい」と話す。ヨドバシカメラは家具のネット販売に注力している。
構造的な問題
調査会社の富士経済ネットワークスは、家電量販の市場規模が19年には14年に比べ34%減の4兆3080億円に落ち込むと予測する。地方の消費者の購買力減退やネット通販の拡大を要因に挙げる。人口減少など構造的な問題も横たわる。
家電量販店の動向に詳しい調査会社BCNの道越一郎氏は、以前の薄型テレビのような目玉商品を見いだしにくく、業容拡大は難しいと指摘。「家電販売のノウハウを生かし、日用品などと境目のない『量販店』として変貌を遂げるのは自然な流れだ」と分析する。
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