JOLED、有機ELを車載向けに参入 トヨタへの納入拡大目指す

 
JOLED製の有機ELディスプレーを手に、取材に応じる石橋義社長=8月31日、東京都千代田区

 パナソニックとソニーの有機EL事業を統合したJOLED(ジェイオーレッド)の石橋義社長は31日、フジサンケイビジネスアイの取材に応じ、車載向けに参入する方針を明らかにした。同社に出資したトヨタ自動車グループの部品大手デンソーを通じて、トヨタ車向けなどへの納入拡大を目指す。

 有機EL市場は韓国勢が席巻するが、JOLEDは空白地帯の車載用やパソコンなどの中型に特化した戦略で勝ち残りにつなげる。

 JOLEDは、2020年から中型有機ELの量産を始める計画で、7月にはジャパンディスプレイの旧能美工場(石川県能美市)を取得した。量産開始に向け必要となる資金を手当てするため、8月にはデンソーや豊田通商など4社を引受先とする第三者割当増資で約470億円を調達した。

 石橋社長は、デンソーからの出資を受け入れたことで、車載用の開発ノウハウを吸収するとともに、トヨタグループへの納入に向けた足掛かりになると指摘。自動運転や電動化で表示向けの採用拡大が見込まれる中、「車載市場にタイムリーに入りたい」と述べた。

 JOLEDの有機ELは「印刷方式」と呼ばれるタイプで、同社が世界で初めて実用化。軽くて鮮やかな色彩を再現できるのが特徴だ。韓国メーカーが採用する「蒸着方式」に比べコストが約2~3割下がるといわれるほか、スマートフォンなど小型を除く中型からテレビまでの大型に適した方式とされる。既にソニーの医療機器向けに出荷を開始。年内に投入される台湾の華碩電脳(エイスース)のモニター向けへの採用が決まっている。

 JOLEDは、競争の激しい小型と大型は量産せず、中型に特化する戦略。ただテレビ向けでは、外部のメーカーに技術を供与してライセンス収入を得る事業を始めており、国内外からの引き合いが強いという。

 技術の流出が懸念されるが、石橋社長は「技術のブラックボックス化で技術が流出しないよう対応できている」と強調。スマホ向けの技術ライセンス供与の可能性については「考えていない」と否定した。

 ■JOLEDの沿革

 ・2015年

  ソニーとパナソニックの有機EL事業を統合して発足。両社とジャパンディスプレイ、産業革新機構が出資

 ・2016年

  量産試作ラインが稼働

 ・2017年

  世界初、印刷方式の有機EL製品として21.6インチ4Kディスプレイの出荷開始

 ・2018年7月

  石川県能美市に工場開設。20年に量産開始予定

 ・2018年8月23日

  デンソーなど4社から第三者割当増資で470億円を調達し、パネル製造技術の外販に乗り出すと発表