東京五輪貨幣の製造本格化 デザイン工夫で購買層拡大へ
2020年東京五輪・パラリンピックを記念した貨幣の製造が本格化している。デザインには、小学生の投票で決まった大会マスコットや、若者に人気の新種目を採用。記念貨幣への関心が低下する中、財務省は「大会盛り上げに一役買いたい」と購買層拡大を狙う。11月から20年にかけて順次発行予定で、来年の天皇陛下在位30年記念なども合わせ発行ラッシュが始まる。
研磨機に接続された管から、光沢のある円形の金属が次々にはき出されていた。7月末から記念貨幣の製造を始めた独立行政法人造幣局さいたま支局(さいたま市)の工場。研磨後、洗浄と図柄をプレスする工程を経た貨幣を、職員が傷やほこりがないかルーペで一つ一つ丁寧に確認していた。
今回の記念貨幣は一万円金貨3種類や千円銀貨12種類など計37種類。図柄や枚数は政令で決定され、今年11月の約800万枚を皮切りに、19年7月、20年の1、7月の4回に分けて発行予定だ。19年には、天皇陛下在位30年と新天皇即位でもそれぞれ記念貨幣が発行される。
造幣局(大阪市)によると、記念貨幣の製造は、通常貨幣に用いる偽造防止技術の実証機会にもなっている。今回の百円銅貨には、銅を白銅で挟み込む「クラッド」と呼ばれる製法が使われており、真鍋仁規専門官(55)は「実際の製造を経験し、技術を磨いておくことが大切」と話す。
記念貨幣が初めて発行されたのは、1964年の東京五輪。百円銀貨だけで約8000万枚製造され、希望者が銀行に押し寄せる人気だったという。だが最近10年は、金融機関の窓口で引き換えるタイプの低額なものでも、2009年の天皇陛下在位20年の五百円銅貨1000万枚が最高で、その他は100万~500万枚にとどまる。財務省の今年2月の調査では、約7割が記念貨幣に「関心がない」と回答した。
財務省は今回、小学生の投票で決定した大会マスコット「ミライトワ」「ソメイティ」や、初めて五輪競技に採用されたサーフィンやスケートボードといった若者も親しみやすい図柄を採用。担当者は「東京五輪をきっかけに、記念貨幣に触れてみてほしい」と話している。
記念貨幣や通常貨幣は、さいたま支局のほか、大阪の造幣局や広島支局の工場でも製造しており工程を見学できる。
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