“マッチング一目瞭然”フォーラムエンジニアリングがエンジニアの転職サイト「コグナビ」開設

 

 ■技術スキル×通勤圏 マッチング一目瞭然

 技術者派遣大手のフォーラムエンジニアリング(東京都港区、佐藤勉社長)は、エンジニアに特化した新しいタイプの転職サイト「コグナビ(cognavi)」を開設した。転職を希望するエンジニアの通勤圏内にどんな求人や企業があるのかを、マッチングスコアと合わせて地図上に表示する仕組み。多くの職種・業界から検索を行う一般的な転職サイトと異なり、個々のエンジニアの技術スキルをベースに最適な転職先を高い精度で探すことができる。7月9日に開設したが、すでに企業、エンジニアともに登録が相次いでおり、フォーラムエンジニアリングは「正社員のエンジニア転職のナンバーワンのサイトを目指す」と意気込んでいる。

 ものづくりを担うエンジニアの転職市場は人材不足が深刻化しているが、中でも機械系・電気系のエンジニアは引く手あまたの状態が続いている。自動車メーカーやサプライヤー、工作機械、FA(ファクトリーオートメーション)装置などの業界からのニーズが極めて高く、人材危機に直面しているという。「コグナビ」が対象にしているのは、まさにこの機械系・電気系のエンジニア。フォーラムエンジニアリングはものづくりエンジニアの社会的な価値を高めるとともに、国内製造業のさらなる発展と、エンジニアの才能を発揮できる場所と機会の提供を行うことを使命としている。機械系・電気系エンジニアや募集企業の目線や気持ちに立って、利便性を追求し最適な転職サイトを模索し続けた結果、生み出したのが「コグナビ」だ。

 独自ツールで数値化

 「コグナビ」の肝となるのが、スキルツリーと呼ばれる独自ツールだ。エンジニアの技術スキルは一般的に言葉では説明しづらい。このため、スキルツリーは技術スキルを可視化するため、技術要素を関係線でつないでツリー状に表現したものだ。「製品・部品」「技術・ツール」「職種・工程」「学問」の4つの分野で構成され、スキルだけでなく習熟度なども反映される。エンジニアはIBMの人工知能(AI)のアドバイスに沿って登録時にこのスキルツリーと学歴など基本情報を入力するだけでよく、履歴書や文章の入力はいらないという。

 コグナビはこのスキルツリーと、募集企業がエンジニアに求める技術要素であるテクニカルツリーとを重ね合わせるようにマッチングする。その際、単純なマッチング度のスコアリングだけでなく、どの技術要素がマッチングしているかが視覚的に把握できるため、より精度の高いマッチングが可能になるという。

 そして通勤圏内にある企業の求人とのマッチング結果を数値化し、地図上に表示する。一つの企業であっても部署ごとに求められる技術要素が異なるため、部署ごとにマッチングスコアが出る工夫もしている。地図上の通勤圏は電車や自動車を使い、2時間以内に設定してあるが、エンジニアが例えば30分以内、1時間以内といった設定をすることも可能だ。マッチングスコアはCOMPASと呼ばれ、100が最も高く、数値が高いほどマッチング度が高いことを示し、地図を見れば一目で自分に向く企業・部署がわかるため、効率的に応募を検討することができるとしている。

 どんな優秀なエンジニアでも、引っ越しを伴う転職は二の足を踏む傾向が強い。福岡県のエンジニアが愛知県に引っ越すとなると一大決心が必要で、なおかつ家族がいるとなると、引っ越しを伴う転職は現実的でないという。こうしたエンジニアの考えや傾向に鑑み、通勤2時間圏内というまったく新しい発想の転職サイトを編み出したわけだ。

 また、企業が仮に求人を出していなくても、求職者がアピールできる機能を付けているのも売りモノだ。その企業に対するCOMPASが高ければ、企業も採用を検討する可能性が出てくる。FEメディア戦略部メディア構築グループの平裕子シニアマネージャーは「たとえCOMPASが低くても働きたい会社だったり、やりたい仕事内容だったり、家が近いという要素があれば、エントリーしてコグナビを利用してほしい」と話している。

 一方、「コグナビ」は、企業側がエンジニアにオファーを送ることも可能だ。個人情報はわからないものの、エンジニアのCOMPASは地図上で把握できるので、自社とのマッチング度が高いエンジニアが通勤圏内にいれば、募集をかけていなくても「あなたに興味があります。応募しませんか」といった通知を当該エンジニアに送ることができる。

 企業の関心高く

 フォーラムエンジニアリングによると、「コグナビ」に対してサービス開始以来、2カ月余の間に1000人を超えるエンジニアが会員登録したという。特筆すべきは、企業側の予想を上回る関心だ。フォーラムエンジニアリングは、機械系・電気系のメーカー約2800事業所(従業員100人以上)をターゲットに据えているが、すでにそのうちのおよそ3分の1の900を超える事業所が申し込んできているという。会員数、企業数をどんどん増やして更新して「スキルツリー」の情報、精度を高め、「エンジニアの転職サイトとして唯一無二の存在になり、技術立国日本を後押ししていきたい」(石毛勇治取締役)という。

 この「コグナビ」のスキルツリーとテクニカルツリーを企業内での部署異動に活用するプランも浮上している。FEメディア戦略部の河野良平ゼネラルマネージャーは「外部の人材を可視化できるのなら、社内の人材の可視化も当然できる。スキルツリーを部門の職能基準照会として活用すれば、例えば上長が部下に対して『君はこの領域が足りないから、もっと伸ばそう』と的確な指示や評価ができるようになる」と強調する。また、新たなスキルが加わるごとにスキルツリーを更新していけば、外部から人材を採用するよりも、求めるスキルを持った人材を社内から見つけ出すことも可能になる。また現在はスキルがなくても素養を持った人材を社内で見つけて育成することできる。「コグナビ」開発を通じて、別のビジネスの萌芽がすでに出始めているといってよさそうだ。

 フォーラムエンジニアリングは、「コグナビ」は国内向けに開発したが、機械系・電気系エンジニアは世界中にいることから、海外での展開も今後視野に入れていくことになりそうだ。