【スポーツbiz】ラグビーW杯 さらなる広報強化を

 
ラグビーイベントで日野レッドドルフィンズの選手とパスを体験する、東京都の小池百合子知事(左)=23日、東京都中央区

 来年の今ごろは、ごひいきチームの応援で日本中が盛り上がっていてほしい。ラグビーワールドカップ(RWC)2019開幕まで1年を切った。2年後のオリンピック・パラリンピックと比べて、先に開催されるRWCの印象は薄い。単一競技の大会だから興味の対象が広がらないことはあろう。ただ、オリンピック、サッカーのワールドカップと並ぶ世界3大競技大会である。しかもラグビー先進地域のイギリスやフランス、オーストラリア、ニュージーランド、そして南アフリカ以外では初めて開くワールドカップ。もっと、関心が高くてもいいはずだ。

 成否の鍵、入場料収入

 それでも、大会組織委員会は強気の姿勢を崩していない。先行抽選販売した観戦チケットの売り上げが好調なのである。

 「過去の大会と比べてはるかにいいと、WR(国際統括団体のワールド・ラグビー)からも評価されている」。嶋津昭事務総長が強調する。

 観戦チケットの総数は約180万枚。今年1月から6月まで半年間の申込期間に250万枚を超える応募があり、既に60万枚以上が売れた。割り当てはWRが90万枚、組織委員会が90万枚だから組織委員会分の約7割が売れたわけだ。

 ただ、先行抽選販売は日本ラグビー協会傘下の団体や開催12都市の自治体、スポンサーなどコアな関係者が対象だった。ある意味、計算された売れ行きにほかならない。

 問題は19日から始まった一般向けの抽選販売。そして、来年1月からの先着順の販売である。ここにはWRの売れ残りチケットも回ってくる。

 RWCではオリンピック・パラリンピック、サッカーのW杯と異なり、放送権料やスポンサー協賛金はWRの収入となり、原則として組織委員会には還元されない。自然、チケット販売に収入の多くを頼らざるを得ない。歴史と人気を誇るラグビー先進地域での開催では難なくクリアしてきたが、日本の懸案となっていた。

 533億5000万円の予算を組む組織委員会は、チケット収入で半分近い260億円を見込む(ほかに協賛宝くじ収益金100、日本スポーツ振興センター助成金79、開催都市分担金39、民間資金55.5=単位は億円)。大会の成否は、入場料収入に深くかかっていると言い換えてもいい。

 ちなみに、日本が南アフリカに逆転勝利して大騒ぎとなった15年イングランド大会では、2億5000万ポンド(約370億円)のチケット収入があり、247万4584人の入場者があった。

 人が動けば、金も動く。組織委員会は経済波及効果を4372億円と見積もる。直接効果1917億円。日本のサプライチェーン全体を通した需要拡大を見込む第1次間接効果が1565億円で、雇用増加による消費拡大の第2次間接効果は890億円と試算している。

 観光含め魅力発信を

 大きな効果を生む可能性はわかるが、実は直接効果1917億円のうち1057億円は、訪日外国人客による消費効果である。外国人観客頼みであることを見落としてはならない。

 イングランド大会はフランスなどヨーロッパを中心に、約46万人の海外からの観客があった。ラグビー先進地域のコアなファンは、4年に1度のRWCに準備を整えて動く。多数の訪日が見込まれるものの、猛暑、水害、地震、台風と続く日本列島の自然災害の多さに、日本行きをためらうかもしれない。

 順調に推移してきた海外からの観光客は、既にペースダウンしたと聞く。40万人の訪日観客をもくろむなか、海外に向けて、いかに日本の安全情報、魅力を発信して重要性が改めて想起できよう。

 情報提供、魅力の発信は、国内に向けても重要である。さらなる観戦チケット需要の掘り起こしには、ラグビーの面白さ、開催都市の魅力を伝えることは不可欠と言っていい。

 日本戦やニュージーランド、オーストラリアなど、人気チームが試合する会場はいい。札幌や福岡は観光とからめた魅力発信が可能である。釜石や熊谷、大分などは、自治体と組んだ対応でさらに雰囲気の盛り上げをはからなければならない。

 認知度拡大が、より重要な理由である。残り1年足らず、メディア露出を増やし、全力をあげた広報活動を求めたい。(産経新聞特別記者 佐野慎輔)

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 ※私が理事を務める笹川スポーツ財団のホームページ(https://www.ssf.or.jp)で、「日本のラグビーを支える人々」と題したインタビューを始めた。