無糖炭酸飲料の市場活性化 ブランド強化や新規参入、健康志向追い風

 
スーパーの売り場に並ぶ無糖炭酸飲料=千葉市

 無糖炭酸飲料の人気が止まらない。お酒を割る用途にとどまらず、清涼飲料水として浸透してきた。飲料大手によるブランド強化や新規参入が奏功し、市場は活性化。定番のプレーンやレモン以外に果物などの風味付き商品も続々登場している。安さに加えて消費者の健康志向も追い風で、専門家は「ジャンルとして定着した状況だ。まだまだ伸びる」と分析する。

 定番以外の風味人気

 「ただの水じゃ物足りないとき、気分転換できる」。横浜市の会社員、青木一磨さん(27)は爽快感に引かれている。無糖炭酸飲料の市場は右肩上がりだ。市場調査会社インテージによると、2017年の市場規模は238億円で、13年の163億円から46%増となった。

 人気の理由を、アサヒ飲料の広報担当者は「健康志向に加え、食事など飲む場面を選ばないことが大きい」とみている。「ウィルキンソン タンサン」シリーズは「ドライ」(500ミリリットルペットボトル入り103円)などを販売しており、顧客の取り込みを狙う。

 猛追するのはサントリー食品インターナショナル。「南アルプススパークリング」ブランドを今年4月に刷新し、CMなどのPRに注力する。定番品以外のオレンジ風味(同108円)などの売り込みも強化している。

 広報担当者は「強い炭酸の刺激がストレス解消に役立っているようで、お酒代わりに飲むという人の話も聞く」と話す。

 無糖炭酸飲料を愛飲する東京都内の女性会社員(29)が「カフェインやカロリーを気にせずに済む。普通の水だと、お金を払うことに抵抗もある」と指摘するような事情も人気の一因のようだ。

 3月に「カナダドライ ザ・タンサン」シリーズを発売したコカ・コーラシステムも「ライム」(490ミリリットルペットボトル入り130円)などを投入した。参入する他社も増え、シェア争いは激化している。

 幅広い年代に普及も

 飲料市場に詳しい「飲料総研」(東京)の宮下和浩取締役は、飲料大手が定番品に続く商品を探っている状態だと分析。「無糖炭酸は大人向けというイメージもあり、容器の工夫などで幅広い年齢層への普及もあり得る。各社の本当の戦いはこれからだ」と説明する。