カメラ各社、ミラーレス 高価格帯で競う 1億画素も登場

 
フルサイズミラーレスカメラ「ルミックスS1R」の開発機(パナソニック提供)

 デジタルカメラ市場が低迷する中、好調なミラーレス一眼カメラで各社が高価格帯へシフトしている。ソニー、パナソニック、オリンパスに加えて、この分野で出遅れていた業界2強のニコン、キヤノンが参入。ミラーレスは反射鏡がないため、一眼レフに比べて小型で軽量だ。技術の進歩で弱点も解消されつつあることから、一眼レフカメラから切り替えるプロカメラマンも増えており、高価格帯にも勝算を見いだしている。

ニコン、キヤノン参入

 2年に1度、9月にドイツで開催され、世界各国のカメラメーカーが技術をアピールする見本市「フォトキナ」。今年はミラーレスカメラを2008年に誕生させた先駆者・パナソニックがフルサイズ(大型)の画像センサー搭載機を披露し、富士フイルムも1億200万画素と世界最高解像度の新機種を発表した。

 パナソニックが投入するのは「ルミックスS」シリーズの2機種。強みである映像処理技術を生かして高精細な4K画質の動画を撮影できるのはもちろん、被写体に合わせる高い操作機能や堅牢(けんろう)性も兼ね備える。ニコンが9月28日発売した「Z7」(想定実売価格約41万円)を上回る値付けとなる見込みだ。

 これに対して、富士フイルムが発表したのは、センサー面積がフルサイズより約7割大きく、より高画質の撮影を可能とする「中判サイズ」のミラーレス機。「GFX」シリーズで来年前半に2機種を発売する。

 このうち上位機は想定本体価格が100万~150万円。現在の市販ミラーレスでは5000万画素程度が最高レベルといわれる中、民生用として世界で初めて1億200万画素という圧倒的な高性能を武器に、プロカメラマンらの需要を取り込みたいという。

 市場全体ではオリンパスが優勢だが、高級ミラーレス機は現在、心臓部の画像センサーを自ら製造しているソニーの「α」シリーズが君臨している。

 こうした中、自社製の一眼レフとの“共食い”懸念から、出遅れが目立っていたニコンとキヤノンもこの秋、ついに同市場へと参入。両社とも、フルサイズ機向けに新開発したレンズマウント(規格)を採用した。

 いずれの規格も内径が大きく、将来的に高性能レンズを開発していくための設計自由度を高めている。

 「デジタル一眼レフカメラで培った知見を結集する」(ニコン)などと、一眼レフの世界2強が巻き返しに向けて、満を持して投入した形だ。

交換レンズも鍵

 レンズ交換式カメラのシェア争いは本体の商品力だけでなく、交換レンズの性能や品ぞろえも鍵となる。フルサイズで最後発となるパナソニックは、独ライカカメラのレンズ規格を採用すると発表した。国内レンズメーカーのシグマと3社協業で互換製品を展開することで、自社製レンズの品ぞろえの少なさを補う戦略を選んだ。

 富士フイルムは交換レンズの増産へ向け、生産能力を2年かけて7割引き上げる計画。生産子会社の富士フイルムオプティクスの大和工場(宮城県大和町)に十数億円を投じてクリーンルームなどを増設し、順次稼働させていく。

 カメラ映像機器工業会の統計によると、18年1~6月期の国内出荷台数は、一眼レフが約24万台、ミラーレスを含むノンレフレックスが約29万台となった。また平均単価も5万4300円(17年)と、12年比で約1.7倍に上昇し、ユーザーの高級機・本格志向が際立っている。

 ミラーレスは液晶ファインダーの画像と被写体の状態に時間差があるなどの弱点も技術進歩で解消されつつあり、プロや写真愛好家の評価が高まっている。カメラ市場の主流は、一眼レフからミラーレスへと移っている。ニコン、キヤノンやパナソニックと“役者”がそろうことで、高級機への流れがさらに加速するのは間違いない。今後のシェア争いの行方が注目される。(山沢義徳)

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 ■主なミラーレスカメラ高級機(社名/製品名/発売時期/本体価格/特徴)

 ソニー/α9/2017年5月/約45万円/データ処理の速い積層型CMOSセンサー搭載

 ニコン/Z7/18年9月/約41万円/レンズ口径を55ミリに広げた新規格を採用

 キヤノン/EOS R/18年10月下旬/約24万円/新規格レンズ、フォーカス速度0.05秒を実現

 パナソニック/LUMIXS1/19年春/50万円台?/レンズ規格を独ライカカメラと共通化

 富士フイルム/GFX100 MegapixelsConcept/19年前半/100万~150万円/1億を超える画素数は民生用で世界初

 ※ソニーとキヤノンは公式サイトでの価格、ニコンは想定実売価格。パナソニックと富士フイルムの各項目は、現時点での公表内容。富士フイルムの製品名は仮称

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【用語解説】ミラーレスカメラ

 2008年にパナソニックが初めて発売した。反射鏡を備えず、被写体を電子ファインダーに写し出す仕組みのため、一眼レフカメラと比べ小型で軽いのが特長。一方で「電池持ち」や、被写体の動きと電子ファインダーの画像とのタイムラグが短所だった。しかし10年間で性能が向上し、スマートフォンで写真の面白さに目覚めたビギナーやシニアをはじめ、プロカメラマンにも支持を広げつつある。レンズ交換式カメラの国内販売数に占めるミラーレスの割合は、54%(BCN調べ、今年3月時点)と一眼レフを上回っている。