サービス均一化、離職率低下に一役 クリップラインが短い動画使う双方向研修を提供
ClipLine(クリップライン、東京都港区)は、外食や流通などサービス業向けに短い動画を使った双方向の教育システムを提供することで、店舗ごとのサービスのばらつきを改善し、生産性向上に一役買っている。空前の人手不足の中で、流通や外食産業などを中心に利用が拡大し、年内にも利用が約5000店、約10万人に拡大する見通しだ。今後は製造業の現場や介護分野の働き方改革にもつなげたい考えだ。
まねして学び返信
同社のサービスは、「クリップ」と呼ばれる20~30秒ほどの短い動画。社内のえりすぐりのプロが調理方法や盛り付け、接客方法などの手本を撮影し、スマートフォンやタブレット端末に送る。
アルバイトらは空き時間に動画で学び、自分でまねをした動画を撮影して本部に送り返す。本部の管理職は習熟度を把握した上で助言し、時には人事評価の対象にもすることで、教育コストを大幅に削減する仕組みだ。
高橋勇人社長は、サービス業の生産性の低さは就業2年以内の社員が4割を占める人員構成の問題にあると分析する。「新人は忙しい中、放置されがちで離職率も高く、新人教育研修に疲れた店長も辞める」負のスパイラルがネックだった。
これまでは膨大なマニュアル本を使って集合研修や個別の対面研修を通じて教育してきたが、クリップラインの導入で店ごとにばらつきのあった接客サービスの質の引き上げや、離職率の低下、新人教育時間の大幅な減少につながっている。この結果、導入各社は教育コスト削減や売り上げ増を実現した。
サービス開発の原点は、高橋社長が経営コンサルティングのジェネックスパートナーズ在籍時代に手掛けた、すしチェーン、あきんどスシローの経営コンサルの経験に遡(さかのぼ)る。経営会議から現場会議に出席し、問題点を徹底的に洗い出した。
最大の課題は当時300カ所、4万人の従業員に伝言ゲームさながら「驚くほど本社の指示が伝わらないこと」。同じチェーン店なのに店舗ごとのサービス品質は大きく違う。「均一サービスとし、店ごとのばらつき改善だけで、業績や生産性は格段に向上する」と気づいた。
現場には、その道のプロも手本も至る所にいるが、それを吸い上げる手法がない。もし、この手本を「動画にして、やり取りできれば、現場を変える革命になる」と働き方改革のヒントを得た。
外国人向けも対応
スシローの経営改革で実績を挙げ、別の外食チェーンも再建したが、課題はいつも同じ。ならば自ら解決策を開発しようと2013年7月に起業した。
多言語機能も付け、国内店舗の外国人向けに対応するほか、日本企業の海外進出先でも活用されている。
今後は「サービス業以外の分野にも挑戦したい」考えだ。新興国の鉄道車両や発電所のメンテナンスサービスでは人材育成は欠かせないが、輸出国全てに技術者を派遣できない。日本の安心・安全のインフラ輸出にも一役買う。また、最近は恒常的に人手不足の製造業や建設業からの依頼も増えている。
同社は自前の撮影部隊を持ち、コンサルを重視した問題解決が強み。コンサル部門を強化しながら「将来は介護のプロの手本を家庭向け介護分野にも広げたい」と意気込む。
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【会社概要】クリップライン
▽本社=東京都港区三田3-12-17 プレクスビルディング3階
▽設立=2013年7月
▽資本金=9億5300万円 (2018年3月時点)
▽従業員=40人
▽事業内容=クリップラインの開発・運営、経営コンサルティング事業
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