【トップは語る】第一三共ヘルスケア 機能性や付加価値の高い新商品充実

 
第一三共ヘルスケアの西井良樹社長

 □第一三共ヘルスケア社長・西井良樹さん(62)

 --2019年3月期の販売状況は

 「薬局・ドラッグストアで購入できる市販薬が主力だが、店頭販売ベースでいうと上半期(18年4~9月期)終了時点で市場全体がおおよそ前年同期と同程度なのに対し、当社は約5%増で進捗(しんちょく)している。売上高でも前年を上回っている。新製品や鎮痛薬が(好調を)牽引(けんいん)しており、主力の風邪薬『ルル』も8月に1日2回の服用で効果が持続する『ルルアタックTR』を発売し、順調に伸びている」

 --9月に敏感肌向けスキンケアブランド『ミノン』で、初の男性向け化粧品『ミノン メン』を立ち上げ、化粧水や乳液など4商品を発売した

 「20~30代の比較的若い層がターゲットだ。これまであまり若い層を狙った商品はなかった。男性も敏感肌を自覚する方は多く、スキンケアの必要性について啓発に努めたい。ミノンは他の商品も好調で、今期は売上高が100億円を超え、ルルに続きそうだ」

 --オーラルケアでも新商品を投入した

 「口臭予防に特化し、イオンの力に着目して開発したブランド『ブレスラボ』を8月に立ち上げ、薬用イオン歯磨きと洗口液を売り出した。勝てる分野に絞って商品を出していく。製薬会社らしく、エビデンス(科学的な裏付け)や品質にこだわり、機能性や付加価値の高い商品を充実させる」

 --対象となる市販薬を買うと所得控除を受けられるセルフメディケーション税制が昨年始まった

 「追い風なのは間違いないが、(控除の)手続きが煩雑だったり、年間1万2000円以上購入する必要があったり、対象品目が限られていたりと、課題が見えてきている。認知度もまだまだ高める必要がある。業界でまとまって啓発と普及にあたり、ぜひ定着させたい」

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【プロフィル】西井良樹

 にしい・よしき 岡山大農卒。1978年三共(現第一三共)入社。第一三共ヘルスケア取締役営業本部長などを経て、12年4月から現職。大阪府出身。