【株式ニューカマー】安全・経済的な抗がん剤目指す Delta-Fly Pharma

 

  Delta-Fly Pharma(デルタフライファーマ)は、がんを対象にした新薬開発を手掛けている。従来に比べ低コスト、短期間で開発する独自の創薬技術によって、患者の体に安全で経済的負担も軽減できる薬の実用化を目指す。10月12日に東証マザーズ市場に新規株式公開(IPO)した同社の江島清社長に、事業戦略を聞いた。

 --独自技術で創薬をしている

 「既に開発された抗がん剤や開発を断念した化合物を使い、新たな組成や投与方法を工夫することによって、安全で効果の高い新薬の開発を目指している。自動車産業やIT産業で行われている部品(モジュール)を組み立てる手法を、抗がん剤の開発に応用したことから、『モジュール創薬』と名付けた。承認済みの抗がん剤の中には副作用が強い薬も多いため、効果が高くて安全性に優れた新薬を開発している」

 --既存の薬剤や化合物を利用するメリットは

 「新薬の開発には長い期間と多額の費用が必要だが、既存の薬剤や化合物を使うことで開発効率を飛躍的に高められる。このため従来の開発期間に比べ、短期間で新薬開発が可能となる。一刻も早くがん患者に届けるためにも優れた開発手法だと考えている。製薬業界では新薬開発はハイリスクとされているが、モジュール創薬の方法を応用することによって、臨床試験で失敗するリスクを低くすることが可能となる。また、患者や家族の経済的負担を軽減するためにも、できる限り薬価を抑えた新薬開発を目指している。製薬会社で働く人が、身内にも安心して勧められるような副作用の少ない薬を開発する」

 --京都大学の本庶佑(ほんじょたすく)特別教授がノーベル医学・生理学賞を受賞したが

 「私たちも大変励みになる。研究成果を基に開発された『オプジーボ』は免疫の働きを活用したがん治療薬だ。従来は抗がん剤、放射線による治療と手術の3本柱だったが、新たに免疫療法が加わった。4つ目の治療の柱ができたということで、大いに期待している」

 --開発している製品は

 「創業から8年になるが現在までに5つの新薬候補を開発中で、そのうち3つが米国で臨床試験中だ。中でも難治性・再発急性骨髄性白血病の治療薬『DFP-10917』は、まもなく最終段階の試験が始まる。順調にいけば2022年頃までには発売できるだろう。日本を含むグローバル市場で、ピーク時に年間500億円の売り上げを見込んでいる」

                  ◇

【プロフィル】江島清

 えしま・きよし 東工大院修了。1976年大鵬薬品工業入社。取締役を経て、2010年12月Delta-Fly Pharmaを設立し、現職。69歳。徳島県出身。

                  ◇

【会社概要】Delta-Fly Pharma

 ▽本社=徳島市川内町宮島錦野37-5

 ▽設立=2010年12月

 ▽資本金=26億5344万円

 ▽従業員=11人

 ▽売上高=2億円 (2019年3月期予想)

 ▽事業内容=新規抗がん剤の研究開発・製造・販売