人気店出店で遊休地を有効活用 「ふかする」、キッチンカー集めフードコート運営

 
フードコート「AKINAI銀座プロジェクト」。昼食だけでなく、夕方以降はアルコールも提供する=東京都中央区

 飲食業コンサルティングの「ふかする」は、借り上げた遊休地にキッチンカーを集めて、フードコートを運営する事業に乗り出した。人気店を出店することで競合との差別化を図るとともに、周辺の地域ににぎわいをつくり出し、土地の資産価値向上を狙う。

 地主は初期投資ゼロでも賃借料収入を得ることができる。各地の不動産業者などと提携して全国に展開し、3年後には100カ所でフードコートの運営を計画している。

 第1弾として11月1日、地下鉄東銀座駅から徒歩1分の遊休地にフードコート「AKINAI 銀座プロジェクト」を正式オープンした。約180平方メートルの敷地で、毎日午前11時から午後11時まで4台のキッチンカーが営業している。平日は主に周辺で働く人、休日は親子連れや外国人観光客でにぎわっているという。

 特徴的なのが出店している店舗。遊休地活用は競合の多い業態だが、他のフードコートでは個人店が中心であるのに対し、同社では「東京餃子楼」、麺処ほん田の店主がプロデュースした汁なし担々麺専門の「紅麗」といった行列ができる人気店を集めた。両店ともキッチンカーでの販売は初めてで、新業態実験の場ともなっている。客単価は、ランチタイムが780~1000円、ディナータイムが1000~3500円を想定。3カ月ごとに店舗を入れ替えることで、来店客に飽きられないようにする。

 これまで狭小な遊休地は、主にコインパーキングとして活用されてきた。しかし競争が激化し、値崩れして収益性が下がっているという。

 これに対し同社は、コインパーキングより割高な賃料で借り上げることを強みに事業を広げていく。賃借契約は初期投資ゼロでも可能。地主の方針により、フードコートの売り上げとの歩合制、賃借せずにコンサル料のみといった多様な契約形態を用意している。

 既に東京23区内のほか、北関東、沖縄の遊休地オーナーから問い合わせが寄せられている。商業地やオフィス街のほか、郊外でもロードサイドであれば十分に開拓できる。一方、住宅街では、においや騒音問題があるため難しいとみている。主に100平方メートル以上の土地が対象だが、キッチンカー1台分の狭い土地でも、持ち帰り専門店舗として運用する。

 同社では若者の車離れやカーシェアリングの広がりのため、今後コインパーキングの需要が減っていくと予想し、フードコートとしての進出余地は十分にあると考えている。鈴木悠太社長は「空き地や駐車場にしかならなかった場所に、食を通してにぎわいをつくり出したい」と話している。

【会社概要】ふかする

 ▽本社=東京都港区高輪4-23-5 品川ステーションビル4階

 ▽設立=2017年10月

 ▽資本金=300万円

 ▽従業員=7人

 ▽事業内容=飲食業コンサルティング