分離プランで上昇する端末代、中古流通を促進 規制改革会議答申
規制改革推進会議が19日、携帯電話料金の引き下げに向け総務省や公正取引委員会に、スマートフォンなど携帯端末で中古の普及促進に向けた施策を求めたことは、中古端末の流通を本格化させる契機となりそうだ。同会議は携帯大手に端末代と通信料の「分離プラン」の推進も要請。分離プランには端末代が上昇するという欠点があり、価格の安い中古端末市場の拡大を後押しする狙いがある。
「中古端末の流通が不当に制限されていないか。制限があれば、独占禁止法での是正を求める」。同会議の作業部会の原英史(えいじ)座長は19日の記者会見でこう述べ、総務省や公取委に中古端末の普及を目指し、流通実態調査を要請した。
中古端末は、携帯大手3社の系列の事業者や商社などが買い取った後、香港など海外で販売しているとされており、中古販売事業者にとっては販売する端末の不足の原因とされる。同会議も「十分に実態が把握されておらず、対応策の是非も検討されていない」と指摘。中古端末流通の不透明さを批判した。
一方、同会議は中古に限定しない「端末販売の適正な競争環境の整備」を要請した。携帯端末の購入は、携帯大手の販売店で通信サービスと同時に契約するのが一般的で、端末だけの販売市場は未整備だ。
同会議は分離プランが一般的になることで、中古で安くなった端末や量販店で値引かれた端末を購入するなど、新しい端末市場が整備されることに期待を込める。その結果、携帯大手の販売店に端末を持ち込んで契約するなど新しい商習慣が生まれる可能性があるとみる。
フリーマーケットアプリ大手のメルカリも、外部の事業者と提携してデータ消去を徹底するなど中古スマホの流通を本格化させている。ただ、携帯大手の販売店で端末を購入して通信サービスを契約するという商慣習が根付いているほか、新品志向が強いことなどのハードルが日本人には高いとされる。MM総研の篠崎忠征(ただゆき)アナリストは「まずは中古を選択肢に入れてもらえるような意識の変化を図る施策が必要」と指摘している。(大坪玲央)
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