一般住宅や店舗に拠点、専用バッグも 「再配達減」へ物流各社が本腰
人手不足に直面している物流各社は、再配達を減らす取り組みに本腰を入れている。荷物を受け取る拠点を一般住宅や店舗に設定したり、玄関前などで荷物を専用バッグに詰めて置いたりと、工夫を凝らした配達方法を考案している。荷物量が増える繁忙期の12月から実験する企業もある。
宅配便はインターネット通販の拡大により急増傾向にある。国土交通省によると、2017年度は前年度比5.8%増の42億5133万個と、3年連続で過去最高を更新した。配達の末端拠点と顧客を結ぶ「ラストワンマイル」と呼ばれる区間での効率化が業界の課題の一つとなっている。
政府は今年9月、宅配ボックスを増やすため、建築基準法の規制を緩和する施行令を閣議決定した。国交省も東京・霞が関の敷地内に宅配ボックスを設置するなど、宅配業者の負担を減らしつつサービス向上につながる取り組みが広がっている。
佐川急便はネスレ日本(神戸市)と共同で、一般住宅や店舗を拠点に商品を届ける宅配サービスを東京都と大阪府で始めた。商品を買った利用者は拠点で荷物を受け取れるほか、店主らが配達もする。ヤマト運輸は、ヤフーのアプリで配送の予定日時や完了を知らせるサービスを始めた。
日本郵便はITベンチャーと組み、不在だった場合に玄関前などで配達の荷物を受け取れる専用バッグを使った実験を今月から東京都内で始めた。来年3月には荷物を物置や車庫といった指定された場所に置くサービスを始める予定だ。
一方、パナソニックは、東京都内で小学生以下の子供がいる50世帯の自宅に宅配ボックスを設置した。子育て中で荷物を受け取れない世帯があり、受け取る負担が減るかを調べる。郵便受けなどを手掛けるナスタは宅配ボックスをオフィスに提供し、社員が職場で荷物を受け取れる実験を始めた。
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