ピアボーナス、企業に広がる マイナビやメルカリも導入、ポイント送り合い働く意欲増進

 
メルカリが運用している「Mertip」(メルチップ)の画面(同社提供)

 社員同士がウェブ上でのポイント交換や投稿を通じて仕事をたたえたり、評価し合うことで働く意欲やモチベーション(動機付け)につなげる成果給「ピアボーナス」の活用が企業に広がっている。提供するUnipos(ユニポス、東京都港区)は昨年6月のサービス開始以来、短期間でマイナビやメルカリをはじめ100社超が導入し、導入企業が付与したポイントは今年9月に平均1ポイント=2円換算で累計1億円を突破した。働き方へのエンゲージメント(愛着心)や組織コミュニケーションを高めるツールとして、企業の人事(HR)部門が注目している。

金銭変換や表彰にも

 ユニポスは、マザーズ上場の広告会社Fringe81(フリンジハチイチ)がシステムを開発し、提供後の反響の大きさから昨年12月、専門運営子会社として設立した。

 「Unipos」と名付けたシステムの仕組みは週400ポイントを各自に与え、翌週に繰り越せない。チャットツールと連携しており、ポイントと投稿はリアルタイムで利用者全員に可視化できる。ポイントの活用法は企業が自由に決められ、文字通りボーナスとして金銭に反映するもよし、社内表彰にも利用できる。

 昨年9月に導入したメルカリの場合、社員がなじみ、浸透しやすいよう「Mertip」(メルチップ)とオリジナル名を付け、独自の工夫も凝らし積極的に活用している。

 同社には従来、社内コミュニケーション施策として四半期ごとに感謝や称賛したい相手に手書きでカードを贈る制度があった。しかし、組織・人員が急激に拡大したことから、よりコミュニケーションを高めるツールとしてUniposの導入に踏み切った。1ポイント=1円換算で毎月の給与と同時に支給しており、社員平均で月額800円程度になるという。

 カルチャー&コミュニケーションズの山下真智子マネージャーは「金額よりポイントをもらったことがモチベーションにつながる効果の方が大きい」と話す。今年1月には贈った回数、もらった回数が最も多かった社員を四半期ごとに表彰する「Mertip賞」を設けた。同じチーム内だけでなく、他部署や地方拠点との関係も円滑化し、「イノベーション(革新)、コラボレーションを生む仕掛けにもなっている」(山下氏)。

 ユニポスによると、ポイントは導入企業の8割が金銭で支給し、残る2割は金銭相当のインセンティブないし表彰制度で活用している。

全社員に「見える化」

 化粧品・美容総合サイト「@cosme」(アットコスメ)を運営するアイスタイルは今年1月に導入し、表彰制度に用いている。同社は「共創の精神」をバリュー(経営理念)に掲げ、これに沿って社員の会社成長への貢献度と個々の働き方を評価する2つの表彰制度を設けている。ただ、社員の働き方をたたえる「Like!AWARD」は内製化したシステムでの評価が、社員にはクローズドだったため、全社員に「見える化」しようとUniposに切り替えた。

 ヒューマンリソース本部組織・人材開発部の久佐野悠部長は「なかなか日の当たらない縁の下の力持ちのような人も評価したい思いで採用した」と話す。投稿内容から組織間の業務上のつながりなどの関係性も把握でき、副次的効果も生んでいる。

 ユニポスの斉藤知明社長は「感謝と金銭をひも付けで贈ることがUniposの最大の特徴」とし、「すべての働く人にスポットライトを当てる」ツールとして完成度を高めていくほか、採用など新しい用途開発にも意欲をみせる。

 導入企業の約7割は創立5年以内で、人材定着が課題の新興企業の事情もある意味で反映している。ただ、導入後に離職率が低下した事例も多く、こうした点を評価し、業種や社歴、企業規模を問わず導入企業の幅を広げている。HRサイト「日本の人事部」主催の「HRアワード2018」でUniposが組織変革・開発部門の優秀賞を受賞したことも、企業のHR関係者の関心が高いことを裏付ける。

 また、11月にはピアボーナスが、賃上げした企業の法人税が税額控除される所得拡大促進税制の対象に含まれることが決まり、導入企業には税負担軽減につながる。

 ピアボーナスは単に金銭だけの俸給、成果給と異なり、称賛の文化を企業内に醸成することによって働く意欲を促す「第3の手段」として今後、存在感を示せるかが注目される。

【会社概要】Unipos

 ▽本社=東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー8階

 ▽設立=2017年12月

 ▽資本金=1000万円

 ▽事業内容=HRテック領域などにおけるウェブサービスの提供など