【中小企業へのエール】イノベーション 次世代型で新たなビジネスの芽育め
以前、政府のイノベーションを担当する政府の高官と、いろいろと議論することがあった。彼は困っていた。真に日本のイノベーションを活発にしていくには、教育から変えないといけない。大学の研究システムを変えないといけない。企業の研究開発体制、特許政策、予算の配分、国の促進税制などやることは山積で、どこから手をつければいいのか分からない。いや過去の先輩たちが、いろいろと手をつけてきたけれども、日本にはイノベーションが起きないから困っている-という。(旭川大学客員教授・増山壽一)
まったく彼の悩みに同感だったが、彼にアドバイスしたことは「日本でイノベーションが起きてないと悲観することはない、静かなイノベーションは起きている。ただ、それは大企業や大学ではなく、中小企業やベンチャー、社会の仕組みなどで起きている」ということだ。
応援している、あるベンチャー企業では、会社の意思決定に、クラウドシステムや人工知能(AI)を使う。従業員みんなが知恵を出し合ってスキルを高め、実績を上げている。
そういう会社は、残業時間制限を目玉とする働き方改革とはあまり関係がないようだ。
政府がイノベーションにおいて果たすことは、必ずしも予算を増額したり、減税を大幅にしたりするだけではないはずだ。
規制に関して、次世代型の空白地をつくって、新しいビジネスの芽を育てることではないだろうか。
例えば、ビジネスを新たに起こしていくときに本当に困るのは、個人情報保護法と消費者保護法、そして雇用保護関係の法体系だ。これらは全て、弱者を保護する、企業は強者であるという前提に立っている。
しかし今は、従来の弱者が必ずしも弱者でなく、むしろ弱者は高齢者や障害のある方とか、違うくくりではないだろうか。
このような従来型の行政を今一度しっかりと有効かどうかチェックしていかなければ、経済の健全な発展はありえない。
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【プロフィル】増山壽一
ますやま・としかず 東大法卒。1985年通産省(現・経産省)入省。産業政策、エネルギー政策、通商政策、地域政策などのポストを経て、2012年北海道経産局長。14年中小企業基盤整備機構筆頭理事。17年4月から旭川大客員教授。日本経済を強くしなやかにする会代表。56歳。
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