スーパー業界など、ポイント還元策の再検討求める

 
記者会見する日本スーパーマーケット協会の川野幸夫会長(左)と日本チェーンストア協会の井上淳専務理事=20日、東京都千代田区

 日本スーパーマーケット協会など小売業界3団体は20日、来年10月の消費税増税対策で実施するキャッシュレス決済のポイント還元策について、「消費者の利便性や公正競争の面から強い懸念がある」と表明。撤回を含め見直し、再検討を求める要望書を政府に提出した。現行案で実施されると、消費者が混乱するほか流通各社による激しい価格競争を誘発し、デフレに逆戻りする懸念もある、と批判している。

 日本スーパーマーケット協会、日本チェーンストア協会、日本チェーンドラッグストア協会が連名で、経済産業相宛てに提出した。

 現行のポイント還元策では「資本金が5千万円以下または従業員数50人以下」の中小小売業では、ポイント還元率が5%で、これを政府が補助、支援する。一方、中小企業とされない大半のスーパーなどには還元はない。

 要望書では、ポイント還元を実施する店舗と、しない店舗が混在するようになり、結果として消費者が混乱すると指摘した。同時に、還元対象とならない店舗が還元店舗への対抗策として独自の値引き策などを余儀なくされるとして、公正で自由な競争環境をゆがめると批判している。

 また、小売業の多くが軽減税率導入に向けた対策や準備に追われている中、キャッシュレス決済の還元策が混乱に拍車をかけるとし、軽減税率制度の円滑な実施にも影響すると警戒感を強めている。

 同日会見した日本スーパーマーケット協会の川野幸夫会長(ヤオコー会長)は「制度の再考を含めた改善を求めたい」と強調した。

 ポイント還元策をめぐっては、コンビニエンスストアでも、フランチャイズ店舗は2%の還元率を政府が補助するが、大企業と位置づけられる直営店に対しては政府は補助しない。