【現場の風】バーチャル店舗、手軽さと手厚さ両立 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
□三菱UFJモルガン・スタンレー証券オムニチャネル企画部長・江面幸浩さん(55)に聞く
--11月にサービスを開始したバーチャル店舗「MUFGテラス」とは何か
「チャットやメールで投資相談ができるインターネット上の仮想店舗。『フィンシェルジュ』というバーチャルの担当者がいて非対面で投資相談もできる。コールセンターではなく、口座開設もできる営業支店としての位置付けで、フィンシェルジュも顧客にとっては、なじみの担当者が常に対応してくれるという形になる。ネット証券の手軽さと対面証券の手厚さを両立させた」
--サービスを思いついたきっかけは
「電話をかけ、手紙を書き、自宅を訪問するというのが証券会社の伝統的な営業形態だが、最近はこうしたコミュニケーションが少なくなり、慣れていない若手社員が苦労しているほか、顧客からも伝統的なやり方が敬遠されるようになっている。人手不足で多忙の担当者が顧客と連絡を取りにくいケースも増えており、これまでと違う仕組みを作らないと立ちゆかないと考えた。顧客データを共有してバーチャル担当者をチームで動かすことで、担当者不在も回避できる」
--実施にこぎ着けるまでには試行錯誤もあった
「バーチャル担当者をキャラクターにするところ。ネットサービスなので、気軽に利用してもらうために敷居を低くしたかったが、金融機関のカラーからすると若干『軽い』という印象を持たれる向きがあった。実在する営業担当者の写真を使おうかという話もあったが、コンセプトを社内で粘り強く説明して認めてもらった」
--滑り出しはいかがですか
「担当する社員は自分の名前を出さずに営業するストレスがあるかと思ったが、意外と抵抗がなさそうだ。このビジネスモデルが広がって、フィンシェルジュが市民権を得てくれればいいと思う」
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【プロフィル】江面幸浩
えづら・ゆきひろ 法政大卒業後、1987年東和証券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)入社。債券トレーダー、投資顧問部長などを経て、2017年6月から現職。東京都出身。
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