【2019 成長への展望】三越伊勢丹HD社長・杉江俊彦さん(57)
■日本橋に超富裕層の訪日客呼び込み
--昨年は基幹店の日本橋店の改装を披露する一方で地方店閉鎖も発表した
「小売業はいい立地で商売しなければならない。(日本橋のような)勝てる立地のところにはこれからも投資をするが、難しい立地はコストと労力がかかる。今回(地方店の閉鎖という)思い切った決断をしたが、新しい立地で商売していくための原資に充てる。閉めて新しく出て行くため、縮小均衡ではない」
--基幹店と地方店の違いとは
「基幹3店ではトップエンドの商品の売り上げが上がっているほか、訪日外国人観光客(インバウンド)消費も引き続き期待できる。若い人でも自分で価値を認めたものは高額でも買う傾向が強い。地方店は一概に言えないが、高額商品を置かずインバウンドも少ない店は今の形を維持したら全くやっていけなくなる」
--好調のインバウンドのさらなる誘致策は
「インバウンドの伸び率は鈍化するだろう。ただ少なくとも4、5年は中国との間で非常事態が起こらない限り減ることはない。過度の期待はしないが観光産業は今後伸びる可能性がある分野だ。これからは、自家用ジェットで来日するような超富裕層をとらえ日本橋店に呼び込みたい。日本橋店のインバウンド比率はかなり小さいが、(超富裕層は)銀座には何度も来ていただいている。普通の百貨店ではそろわない商品を日本橋店で扱い、最高の購入体験を提供したい」
--今後は電子商取引(EC)も注目分野だ
「現在の三越・伊勢丹オンラインストアはどのカテゴリーもまんべんなく弱いという課題があった。リアルの店舗が強かったため本気で取り組んでいなかったためだ。このため勝てる分野を掘り下げて勝負をかけたい。化粧品に特化したインターネット通販サイトを春ごろにも立ち上げる。百貨店に入っているブランド化粧品の販売は百貨店運営のサイトでなければならず、強みが発揮できる分野だ。既存のサイトが扱っていない商品を取りそろえて差別化する」
「百貨店がない地域も増えてきており(購入に)困っている消費者にもアプローチできるだろう。将来は化粧品だけでなく2、3年かけて全商品をサイトに載せていく構想だ」
--消費増税による影響は
「これまでの消費増税のマイナスインパクトは全社の売り上げに対して1%弱ぐらいだった。今回は増税実施が(年度途中の)10月で、税率の上げ幅も2%のため年度を通じて1%も落ちることはないだろう。最大0.5~0.3%のマイナスとみている」
◇
【プロフィル】杉江俊彦
すぎえ・としひこ 慶大法卒。1983年伊勢丹入社。三越伊勢丹ホールディングス取締役常務執行役員、取締役専務執行役員などを経て、2017年4月から現職。東京都出身。
関連記事